収益好転につながるビジネスモデルの作り方=理央周

特集【中小企業のビジネスモデル】

弊社で毎年1年に1度開催しているビジネスライブ。年に1度テーマを決めて、マーケティングの範疇で、旬のテーマを選んで行ってます。

今年のテーマはビジネスモデル。ビジネスモデルは、実に幅が広く抽象的な概念です。そして、ビジネスモデルは、単なるバズワードではなく、もちろん単なる流行りものでもなく、多くの学者がしっかりと研究してきた学問テーマです。

私は常々、ビジネスモデルとは、「顧客価値を見直すことで、収益を好転させる、仕組みを構築すること」だと定義しています。

新規ビジネスを立ち上げる際、事業計画を見直す際、中小企業の経営全般において、ビジネスモデルの構築は、避けて通れない非常に重要なポイントです。

最初に重要なことは、顧客価値を見直すこと。有名なビジネスモデルに、アメリカンエクスプレスのトラベラーズチェックがります。

当時、アメリカンエクスプレスのエグゼクティブが、海外に出張した際に、大銀行の小切手を持っていったにもかかわらず、海外の通貨に変えることができず非常に苦労しました。そこで考えついたのがトラベラーズチェックです。

小切手が海外で使えず、たらい回しされたことを問題視し、偽造困難で、損失補償もある、再発行できるという誠意を持った商品です。

それだけではなく、先にお金をもらえるという、良好なキャッシュフローにより、新しい収益モデルを構築できることが画期的でした。

ここで重要なのが、顧客の問題を発見し、課題解決をしてあげたこと。すなわち、顧客価値を見直したことです。これが全ての出発点になっているのです。

単に、儲かるから、とか、新規顧客を取るためとか、手法を考えたりすることも非常に重要なのですが、やはり出発点は顧客なのです。

新しいビジネスモデルを生み出すという事は、それほど簡単なことではもちろんありません。

ではどうしたら良いかというと、様々な企業がこれまで成功を収めてきたパターンを知ること。そして、そのパターンを自分の引き出しに入れ、その引き出しを増やしていくこと。そして最後に、自分のビジネスに当てはめてみること。こういったステップスをとると良いでしょう。

ビジネスモデルのパターン

パターンとは、ビジネスモデルのフレームワークのことです。

例えば、顧客ライフサイクルマネジメント、というビジネスモデルがあります。

顧客の成長に伴って、そのニーズや好みが変わります。それに合わせた提供価値の「ラインナップ」を揃えていくことを、顧客ライフサイクルマネジメントといいます。

例えば自動車会社で言えば、顧客のライフサイクルは、独身者が家族持ちになり、そして会社でも上の役職になっていく過程に合わせて、独身にはコンパクトカー、家族になった時には少し広めのファミリーカー、最後には高級車、をターゲットとして開発していくビジネスモデルです。

また有名なビジネスモデルに、レーザーブレードがあります。最初の商品を比較的低単価に設定し、消耗品や保守サービスなどを継続的に提供することで、利益を上げていくビジネスモデルです。

ウェット型の髭剃りが、柄(ホルダー)のところを提供し、替え刃で利益を上げていくケース、家庭用インクジェットプリンターを低単価で提供し、インクで儲けていくといったようなビジネスモデルが、これにあたります。

フリーミアムと呼ばれるビジネスモデルもあります。一部の提供価値を無償として、それで集客をして、周辺の有償取引で収益を上げていくビジネスモデルです。

例えばクラウドでのサービスのDropboxは、無料でDropboxを提供し、容量を増やすなど、より付加価値の高いサービスを有料で提供することによって、ビジネスを成り立たせています。

一般的には、5%の有料ユーザに、付加価値の高い製品を継続的に提供し、95%の無料ユーザに基本的な機能のみを提供していく、という割合になり、無料ユーザーがアップグレードしたい、となったら有料ユーザーになるという仕組みです。

こういったパターンを知り、引き出しを増やしていくことによって、自分化していくことが非常に重要です。

自社のビジネスに当てはめ、さらにフレームワークまたはビジネスモデル同士を、組み合わせることができると、非常に有益なプログラムになるでしょう。

ビジネスモデル組合せの事例

愛知県碧南市に、九重みりんという会社さんがあります。ここは現存する日本最古の醸造所で約240年の歴史を持っています。

今年の5月にクラウドファンディングを始めました。内容は日本最古のみりん蔵である九重味醂が、江戸時代の酒を再現したい、ひいては、共感する方はファンドにご協力ください、という形です。

その時の告知文章には、創業200年の当社が再現できた、本みりんのルーツである味醂酎を再現したい、ということが書かれています。

これをSNSで拡散し、クラウドファンディングが達成されました。

そしてさらに自社の味醂工場に、レストラン&カフェを同時にオープンし、そこに集客もし、話題を醸成しています。加えて、商品をクラウドファンディング先に送る時に、一緒にカタログやクーポンなども入れ、継続購入を促しました。

単純に、クラウドファンティングを、単なる資金集めのためだけに使うのではなく、SNSを使って拡散し、告知効果を目的として使用していること、フリーミアムの考え方で、まずはお試しにしてもらえるように促し、その時にクラウドファンディングで共感した人に、買ってもらう努力をしたこと、そしてさらに素晴らしい点は、継続購入を促している点にあります。

このようにビジネスモデルを複数組み合わせ、一連の流れにして自社のファンを作っていくということが、理想の姿と言えるでしょう。

ビジネスモデルは、単に一つ一つを覚えても意味がありません。まずは、事例を知り引き出しに入れておき、自社の課題に応じて引き出しから取り出し、応用できるようになることが、収益好転の事業計画作成につながります。



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