特集【ドンキホーテがユニーを買収】
ドンキホーテホールディングスが、ユニーファミリーマートホールディングス傘下の、総合スーパーマーケットの、ユニーを買収する。
これで、国内小売業において、イオン、セブン&アイホールディングスに続く、第3位のグループとなる。
今、なぜ買収なのか
ドンキホーテにしてみると、2007年に長崎屋を買収して以来、2度目の大型買収になる。以前、このメルマガでも書いた通り、タワー陳列、極端な安値での提供などなど、日本の国内の小売業において、かなり独自な路線で伸びてきたドンキホーテが、経営不振に陥っているとはいえ、老舗に近いユニーを買収するのは何故なのだろうか?
まず、ドンキホーテ側が欲しいユニーの「よさ」に関しては、立地条件、社員の習熟度など、企業としてののれんや資産が魅力であった点もあるだろう。
さらに、スーパーマーケットとしてのユニーは、生鮮食品を扱っている。先号にも書いたが、小売業にとって重要なのは「来店頻度」だ。
雑貨を中心に扱うドンキホーテにとって、顧客が週に何度も買いに来る生鮮食品を扱えることで、さらなる売り上げを見込みたい、という点もあるだろう。
一方で、生鮮食品は仕入先との関係性構築の経験もなく、さらに陳列や売りの現場での経験もないため、自社でゼロから立ち上げることは難しい。
ドンキホーテにとっての魅力の一つはそこにあるだろう。
ユニーファミリーマート側の思惑は?
では、ユニー・ファミリーマート側の方は、何をメリットに感じているのであろうか。
市場を見てみると、圧倒的な売上と店舗数を誇る、イオンと、セブン&アイホールディングスの存在がある。さらに、GMSの業態を取っているユニーは苦戦の連続だ。
私の自宅の近くにも、アピタがあるが、やはり混んでいるのは生鮮食品売り場と、フードコートだけといった印象が強い。
3階建ての、2、3階においては各テナントも、ほとんど「ガラン」としている印象が強い。
GMSの不振は、ユニー・ファミリーマートのみではなく、イオンやヨーカドーなども同様だ。それも、大規模出店法の施行以来、数が増えてきたGMSもそれぞれ画一化も進み、どこのGMSも同じようなターゲット層を狙うことで、独自性がかなり薄れてきている。
イオンは、どこのイオンにいっても、テナントも、売っている商品もかわい映えがしない、そしてそれはGMS同士でも同じことなのだ。
その点、ドンキホーテはかなり独自性が強い販売手法で、独自性の強い商品ラインアップをそろえている。
また、イオンやセブン&アイホールディングスが持ち合わせていない、ディスカウントストア、という業態が加わったことも、グループとしては大きい。
実際に、イオンやセブン&アイ箱の業態を持ち合わせておらず、来店する消費者側から見ると、「同じ食品を買いに行くなら、今日はドンキのあるアピタへ」という選ばれ方になるのだ。
もちろん、上記に加えて、顧客データの統合による相乗効果が見込まれる。コンビニのファミマからドンキへ、またその逆という相互送客も見込まれるし、ポイント制なども合算できることになれば、よりグループとしての相互効果が見込まれるであろう。