いつも、このメルマガを読んでくれて、ありがとうございます。
今週は、ニューヨークに来ています。久しぶりのニューヨークは、やはり刺激的。新しいものが、意外と整然として、存在しているところがいいですね。
マンハッタンの街に降り立った瞬間から、それを感じることができます。
ニューヨークの街での気づきや発見を、このメルマガの号外でも発信していきますので、ご期待くださいね。
今号のテーマは、「今の時代にマッチするターゲット設定〜家電量販店とイケアの事例から」です。
それでは今号も、最後まで読んでください。
特集【今の時代にマッチするターゲット設定〜家電量販店とイケアの事例から】
マーケティングの講演や講座などで、もっともよくいただく質問は、「なぜ、ターゲットを絞るのか?」ということ。この質問の背景には、「うちの商品は良いに決まっている。だから万人に受けるはずだ」という思いがあるのだ。
ターゲットを絞るのはなぜか?
Googleの23番目の社員でGmailを作り、AdSenseのプロトタイプを作ったポール・ブックハイトは、こんなことを言っている。(以下、カタパルトスープレックス2017年11月27日の記事から引用)
- 実際にローンチの時ですらGmailのチームは十二人くらい。スタートアップのようにリソースに限りがあるチームはどこかに集中しなければいけない。例え小さな規模のユーザーでもめっちゃくちゃ愛してくれるようなプロダクトにしないといけない。これが「ディープアピール」の意味。ユーザーの深くまでアピールできれば時間をかけてその輪を広げ、もっと多くのユーザーにアピールができるようになる。
- 多くの失敗は全ての人にアピールしようとすること。ゼロから作り上げる場合、それは不可能。Gmailの最初のゴールは100人のハッピーユーザーを獲得することだった。使ってる人に電話したよ。「Gmail使ってハッピーですか?」って。そしてハッピーじゃないユーザーのところに行ってその原因を知ろうとした。
- ある人はOutlookの機能が全部欲しいと言った。君をすぐにハッピーにできそうもないなあとあきらめる。でも、ある人は一つか二つの機能を追加すればハッピーになってくれる。それならできる。そういうのを積み上げていった。もちろん、ローンチの時に全てのユーザーがハッピーだったわけではない。それでもそれなりの数のユーザーが興奮してくれて、eBayでGmail招待状が取引されたりした。
(引用以上)
この話を聞いてもわかるように、万人に受ける製品などは世の中にないこと、万人向けにするということはイコール、誰にも響かない製品になり選ばれなくなってしまう、という点に集約される。
ここで意識したい点が、絞る、ということは捨てる、ということではなく、集中する、ということだ。絞った後は、ターゲット以外に売らない、という意味ではなく、響く層を見つけて、彼らに経営資源を集中し、投資対効果をあげる、ということになる。
企業が持つヒト・モノ・カネ、時間、情報という経営資源は全て有限。したがって、効率よく活用しなければならない。
自社製品が響く層に向けて開発し、アピールしていくことで無駄を省く、という姿勢が重要なのだ。
IKEAの高齢者向け商品開発
ではここから、企業の事例で考えてみる。まずは、大企業であるIKEAの、市場の見つけ方と製品開発の事例を考えてみたい。
IKEAジャパンが、高齢者向けの雑貨を開発し、日本でも販売を開始した。