タツノコヒーロー名台詞:ベスト5

※「タツノコヒーロー男前列伝」という企画用のコメント原稿です。

(1)科学忍者隊ガッチャマン

●究極の選択を決断するリーダー

「科学忍者隊のリーダーとしての命令だ。コンドルのジョーはここに残し、全員ギャラクター本部に突入する!」

第105話「地球消滅!0002」

瀕死となりながら敵ギャラクター本部を発見したG-2号コンドルのジョー。地球ブラックホール化を阻止するため、G-1号大鷲の健は親友のジョーを見捨てる命令をくださねばならなかった。「俺の心だと思ってくれ」と自分のブーメランを託して……。公私どちらを選ぶのか、つらくとも「決断」をするのがリーダーの使命だということが最終回ではよく描かれている。何かを成し遂げようとしたとき、思い出す価値のある名場面である。

(2)新造人間キャシャーン

●自らも同時に鼓舞する激励

「君がやらなくて誰がやるんだ!」

第9話「戦火に響け協奏曲(コンチェルト)」より

アンドロ軍団の攻撃に屈せず、音楽会を開こうとするクイーン市の人びと。キャシャーンは戦火で視力を失い演奏を不安がる女性ピアニストを励まし、こう言った。そしてキャシャーンはひとりボロボロになって戦い、超破壊光線で音楽会を守りぬいた。ルナ以外、誰も知らない孤独な死闘。あの激励の言葉は、彼自身が不安を乗り越えて戦う決意であったに違いない。「キャシャーンがやらねば誰がやる」というキャッチフレーズが重く響く。

(3)宇宙の騎士テッカマン

●ありきたりな謝罪を超える血の叫び

第11話「失われた宇宙船」

「犯した罪は命をかけて償うしか、それしか考えられなかったんだ!」

宇宙人に父を殺された憎しみを秘め、テッカマンに変身して戦う南城二。だがこの回では、誤って友好的な異星人の乗る宇宙船を破壊してしまった。ただ一人生き残った少女カレンのため、宇宙船を敵のワルダスターから奪おうと必死で戦うテッカマン。言い訳をいっさいせず、生命がけの行動で償いをつらぬく意志がすごい。「ごめんなさい」という言葉も大事だが、気持ちと行動が伴わなければ、うわべだけに落ちてしまいかねないのだ。

(4)ヤッターマン

●役割もまた大切なもの

第59話「ボケトルマン参上だコロン」

「現実にはダメでも、あなたは映画の中ではヒーローなんですよ」

ハゲウッドは世界一の映画の都。そこで特撮ヒーローとして活躍するボケトルマンは、映画と現実との区別がつかなくなっていた。いつものドロンボー一味の大騒動が収まった後でひどく落ち込んでしまったボケトルマンを、ヤッターマン1号は勇気づける。たくさんのファンたちを楽しませてきたことは、確かな事実なのだ。大笑いした後にホロリとさせられる。自分の仕事のもつ意味を、考え直すきっかけにもなるセリフではないだろうか。

(5)未来警察ウラシマン

●孤独を乗りこえる友情の言葉

第49話「愛と死の超能力」

「ひとりで地獄に行かせたんじゃ、かわいそうだぜ」

西暦1983年から2050年のネオトキオにタイムスリップ、超能力を獲得した少年はウラシマ・リュウと名づけられ刑事となる。ラスト近く、未来で親友となったクロード刑事がポツリと口にした言葉がこれ。敵側ネクライムのルードヴィッヒとスティンガー部隊が滅びるときに見せた熱い絆にも関係している。記憶喪失で天涯孤独となったはずのリュウが、なぜ未来での生活を受けいれたのか――それは、友だちを新たに獲得したからなのである。

【2011年11月4日脱稿】初出:『KARUWAZA STYLE』(サークルKサンクス広報誌)