ディズニーが大嫌いなので、死んでもディズニーチャンネルだけは登録するもんかと心に誓っていた。
今年の春アニメの中で楽しみにしていた作品が2本も「ディズニーチャンネル独占配信」になったと知った時には歯ぎしりして、「くっそ~!観たい!観たいけど負けるもんかー!」とベッドの中でのたうち回ったものだ。
なのに、このたび、ついに私は陥落した。
ライアン・マーフィーの「アメリカン・ホラー・ストーリー」(以下「アメホラ」)シーズン10がディズニーチャンネルの独占配信になったからである。
ぐはあっ! 金にモノを言わせやがって卑怯だぞ、ディズニー!
そもそもだな、ディズニーがライアン・マーフィーの作品を独占的に配信する意味がわからん。
おまえらの経営するディズニーランドは、ついこないだまで女装ゲイを入場禁止にしてたほどのゲイ嫌いじゃないか。
しかも、「アメホラ」のグロテスクで悪意に満ちた作風は、ディズニーとは真逆の路線じゃないのかね?
時代が変わってゲイに対する差別的な態度がバッシングの的になるからって、ゲイ風味丸出しのライアン・マーフィー作品に手のひら返したように擦り寄るその偽善的戦略、まったくヘドが出るぜ!
とはいえ、私がアメホラ見たさにディズニーに敗北した事実は認めざるを得ない。
契約したついでに、春からずっと観たかったのに我慢してたアニメ2作品もイッキ見してやったわい。
「サマータイムレンダ」と「ダンス・ダンス・ダンスール」だ。
ああ、どっちも良かったよ。
特に「サマータイムレンダ」は最高だった。
今夏も引き続き配信してるので続きが楽しみで仕方ない。
「アメホラ」シーズン10も半分観たけど、なかなか面白かった。
「アメホラ」シリーズはシーズン6あたりから急速につまらなくなって今後を危ぶんでいたのだが、今回のシーズン10は久々の良作だ(まだ半分しか観てないけど)。
大好きなデニス・オヘアも復帰したし、喜ばしい限りである。
シーズン10は、前半と後半でまったく別の物語に分かれている。
私が観たのは前半の「赤い海」という物語だ。
ジャンル的には吸血鬼モノのホラーだが、よくあるお耽美なヴァンパイアではなく、そこがまず気に入った。
この作品の吸血鬼には2タイプいて、ひとつは人間の姿をしたまま芸術家として社会的成功を収めている「勝ち組吸血鬼」、もうひとつは青白い顔のスキンヘッドになってゾンビみたいに町を徘徊する「負け組吸血鬼」だ。
吸血鬼になるには謎の黒い錠剤を飲まなくてはならず、もともと何かしらの才能を持って生まれた者は薬の力でその才能が最大限に開花し、何の才能もない者が飲むとただのハゲゾンビになる、という仕組みだ。
これはものすごく残酷なシステムである。
自分に自信があり野心の強い者は「吸血鬼になってでも成功したい」と望んで薬を飲むが、それがただの勘違いだとゾンビに成り果ててしまうのだ。
自分には才能がなかった、と気づいた時にはハゲゾンビだよ。
ぐわあああっ、悲し過ぎる!
一方、勝ち組吸血鬼たちの人生も、必ずしも祝福に満ちたものとは言えない。
才能あふれる芸術家として成功しながらもどんどん人間性を失って傲慢かつ冷血になっていき、最終的には負け組とは別の意味でモンスター化してしまうのだ。