アメリカ ベニハナの顧客設定~ターゲティングの手法
【ベニハナ アメリカの典型的な日本食レストランとは~B級グルメの王様でセグメンテーションを気づく】
今回のロサンゼルスへのビジネス・トリップ(研修旅行)で、一番参考になったのが、意外かもしれないが、なんと紅花 BENIHANAを観察しに行ったこと。
日本では、ほとんど報道されることやニュースになることもないため、私としては、ベニハナはもう、「オワコン=終わったコンテンツ」だと、思い込んでいた。
【日本製品を海外に展開する前にすべきこと】
私の今回の出張の目的は、日本の飲食店や食品の製品を、アメリカで展開する可能性を探ること。
いわゆるリサーチだった。展開したい食品のコンテンツとしては、「親しみやすい」日本の味や料理。
アメリカに限らないのだが、やはり、郷に入れば郷に従え。アメリカナイズさせなければ売れない、というのが商売の基本である。
今回はこの目的のリサーチをしたのだが、量的な調査、数字だけではなく、消費者の行動や、食べている様子などを、「観察」するという、「質的な」調査も行ってきたのだ。
【ベニハナでの発見】
そのために、まず現地ロサンゼルスのビジネス・パートナーに、「こちらの典型的な日本食、しかも親しみやすいレストランは?」と聞いてみたところ、「The日本食」といえば、ベニハナだよね、という、意外な回答が返ってきた。
百聞は一見にしかず、ということで、さっそく、彼女に予約の電話をいれてもらったところ、月曜日だというのに、一杯で予約は取れず、ウエイティングならOK,とのこと。
さっそく、行ってみたら、かなり広い店内はすでに満席。ウエイティングのバーも混んでいる。
来ているお客様層に、日本人、日系人らしき人たちや、アジア系、白人系のアメリカ人はほとんど見当たらず、大半が、ヒスパニック系または、アフリカ系のアメリカ人で、可処分所得がある程度ある層というイメージ。(あくまで私の感想です)
大半が、「ファミリー層」で、3世代の方々もいる。皆かなり美味しそうに、楽しみながら食べている。隣の席では、一家総出で来ていて、3歳くらいのお子さんの誕生祝をやっていた。
アメリカ人にとってみたら、紅花は、べにはな、や、ベニハナ、ではなく、BENIHANA。典型的な日本食レストランなのだ。
【なぜ、ベニハナは人気なのか?】
私たちが、一般的に思うアメリカでの日本食は、「寿司やてんぷら」、最近ではラーメンなども人気のようだ。
しかし、ここでは、寿司やラーメンなどのメニューではなく、やはり肉やエビが中心だ。
同席した家族たちと話していると、まず、肉やに海老は大好きだということ。アメリカ人にとって、最も分かりやすい食材だ。
そして、目の前で切り、焼いてくれる、パフォーマンス豊かに見せてくれる、楽しさ。みんな、思わず目を丸くし、動画に撮っている。
飲食に限らないのだが、顧客が本当に価値を感じるのは、「食材や価格」だけではなく、家族や大事な人との「楽しい食事」なのだ。
私が忘れかけていたことを、思いおこさせてくれた貴重な経験になった。
【中小企業はベニハナに何を学ぶべきか?】
この日の教訓は、「顧客に聞け」。日本にいての、机上の計算や調査、ネットではわからない、ホンモノのアメリカがここにはあった。
数値だけを見てみると、「日本食はやはり寿司、しかもカリフォルニアロール」とか、「ラーメン店が3度目のブームになっている」といった情報で判断しがちだ。
しかし、データというものは、すべて過去のもの。信用はできるが、将来を予測するための、一つの指標でしかない。
今回のように、自分の足で仮説をたて、現地現物で、想定顧客の行動を観察すると、見逃していた、または、フレームワークの段階で、「除外していた重要な項目」を、発見できることがある。
量的な調査に加えて、顧客行動の観察の重要性を再確認することが、競争から抜きんでる一歩になるのだ。
■目次
… 1. 特集 「アメリカ ベニハナの顧客設定~ターゲティングの手法」
… 2. コラム 「AIの進化と仕事の関係」
… 3. 書評 「ビジネスの変革に必要な志と有用性~吉田松陰 松下村塾 人の育て方」
… 4. ワンポイント時間術「多様な参加者だからこそ結果を出せた」
… 5. 著書・イベントのお知らせ
… 6. 編集後記