スターバックスに学ぶおもてなしを独自化するステップ=理央周

スターバックスに学ぶおもてなしを企画にするステップ

スターバックスでコーヒーを買ったら、15周年記念とのことで、VIAのスプレーコーヒーをもらったことがあった。なんとも可愛らしいスタンプも、カップに押してあった。

スタンプを見ると、全国統一の、本社から支給されたものではないことがうかがわれる。

このような企画を、店舗ごとに企画し実施できるところが、スターバックスの独自の強み。

中小企業が見習うべきは、この顧客に対する思いやりが発想できるか、と、自社の経営理念を、従業員に浸透させて、それぞれの従業員が理解し、顧客のために何ができるかを、徹底的に考えてはじめて、実施までこぎつけることができる。

前者は、売り手目線での物事の考え方ではなく、買い手の立場に立っているかどうか、すなわち常に顧客視点でられるかどうかに尽きる。

そして後者は、こちらが厄介なのだが、

1 理念を明文化し

2 従業員が実践できるように行動指針に落とし込み、

3 形式知として社内共有する見える化をし、

4 さらに、集合知を生みだすために、「見せる化」もして、毎日繰り返し従業員が反復する、

という4ステップで成し得ることができる。何事にも王道はなく、このような地道な一歩一歩の積み重ねが、顧客中心の考え方を生み出せるのだ。

【中小企業にもできるホスピタリティマネジメント】

名古屋にコンパルという、サンドイッチが有名な喫茶店のチェーンがある。

アイスコーヒーを頼むと、まずはホットコーヒーと、「グラスに氷を入れたもの」が運ばれてくる。

店員さんを呼ぶ押しボタンに、ご丁寧に「淹れ方」が書かれているのが親切である。

このコンパルは、名古屋では有名なサンドイッチの名店で、ランチタイムにはいつも満席。

複数店舗を抱えている。そのコンパルでは、アイスコーヒーの味もしっかりさせようと、ホットコーヒーと同じ淹れ方で入れている、ということである。

飲食店が愛されリピートされるのは、一にも二にも美味しいから。コンパルでは、その原点中の原点をしっかりと守っている。

コンパルはきっと、顧客のことをまず考え、ホットコーヒーと同じクオリティで、アイスコーヒーが出せないのか、と考え、この方法を思いつき、さらに、淹れ方まで説明している。

ユニークなことは素晴らしいが、「自分たちがわかっていても、顧客は通常わからない」わかるに決まっているでしょ、という固定概念を外した、顧客視点での説明だ。

■目次

… 1. 特集 「スターバックスに学ぶおもてなしを企画にするステップ」

… 2. コラム 「鮨よし乃が選ばれ続ける理由」

… 3. 書評  「仕掛学」

… 4. ワンポイント時間術「劣後順位の決め方」

… 5. 著書・イベントのお知らせ

… 6. 編集後記

2.コラム:「名店が選ばれ続けられる理由」

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