今回のテーマは〈鈴木清と自費出版写真集の可能性〉。
写真集は写真家だけでなく、出版社を通じて編集者、デザイナーなど多くの人が関わってつくられていきます。
関わった人々の化学反応によって素晴らしい作品がつくられることもあれば、それが時に、写真家にとって「制約」になってしまうことも。
鈴木清が生涯で発表した8冊の写真集のうち、7冊が自費出版でした。
彼はイメージするものをストレートにかたちにするために「制約」のない自費出版をあえて選んだといえます。
『流れの歌』『ブラーマンの光』『天幕の街』『夢の走り』『愚者の船』(IPCから出版)『天地戯場』『デュラスの領土〈DURASIA〉』『修羅の圏(たに)』の8冊の写真集をエピソード交えながらみていきます。
今回は特別ゲストに鈴木清さんの娘さんの光(ひかり)さんをお迎えして貴重なお話を伺うことができました。
鈴木清は構成を練るために写真集ごとにダミー本をつくり細部までこだわり続けます。
光さんがとっても貴重な『修羅の圏』のダミー本を持ってきていただきました。
走り書き、テープのあと、しわくちゃな紙。
ダミー本には写真家の思考のプロセスがにじみ出ています。
「写真のコピーは近所のコンビニでやっていた」なんて、家族だからこそ知っているエピソードも。
今回は「写真をみせること」に徹底的にこだわった写真家の姿をみることができました。
写真集というかたちで写真家の想いが残っているというのは貴重なことですね。
(2014年11月23日開催・写真/文 館野 帆乃花)
「飯沢耕太郎と写真集を読む」はほぼ毎月、写真集食堂めぐたまで開催されています。
2017年1月開催分からは解説のたっぷり入ったロングバージョンをお届けします。
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