連続講座「飯沢耕太郎と写真集を読む」 深瀬昌久

秋の気配を感じるようになってきた9月6日の日曜日。

連続講座「飯沢耕太郎と写真集を読む」が開催されました。

めぐたまで自由に手に取ることのできる5000冊もの写真集。

「写真の味わい方を知ってほしい。」と、続けて来たこのイベントも今回で16回目です。(いままでの様子はこちら

この日のテーマは写真家・深瀬昌久の生涯と写真について。

飯沢さんは深瀬昌久を「生きること」と「写真を撮ること」の結びつきが異様なまでに強い写真家だと言います。

1934年、北海道美深町にて写真館の息子として生まれた深瀬。

幼少期から「写真」が身近にあった彼にとって写真を撮ることは宿命であり、ある種の縛りでもありました。

被写体に「自分」を投影するかのようにカメラを向けた『遊戯』(1971年)、『洋子』(1978年)、『鴉』(1986年)、『家族』(1991年)、『父の記憶』(1991年)を見ていきます。

妻・洋子との別れと、家族の死を経た深瀬は、被写体としての他者も失い「自分」にカメラを向けるようになります。それが、「ブクブク」や「私景」のシリーズです。

1992年の事故によって突如として写真を撮ることができなくなり、療養施設を転々とし2012年に亡くなりました。

「自分とは何か」という問いを極限まで追い続けた彼の写真には、刃の上を渡り歩くような危うさと凄みがあると飯沢さんは語ります。

特別ゲストに深瀬昌久アーカイブスのトモ・コスガさんをお迎えし、生前最後の写真展となったニコンサロンの展示風景やオリジナルプリントをみせて頂きました。

彼の死後、深瀬昌久アーカイブスの活躍もあり、国内外で写真家・深瀬昌久への注目が集まっています。

トモ・コスガさんは講座の最後に「若い人にもみてほしい」と思いを語ってくれました。

(2015年9月6日開催・写真/文 館野 帆乃花)



「飯沢耕太郎と写真集を読む」はほぼ毎月、写真集食堂めぐたまで開催されています。

2017年1月開催分からは解説のたっぷり入ったロングバージョンをお届けします。

著者フォローとタグ「飯沢耕太郎と写真集を読む」のフォローをお願いします。