食べりんぐトラベりんぐ: 往復2時間半かけても食べに行きたいたい魚料理 「加賀海」(埼玉県草加市)

 銚子生まれの父が魚食いだった影響もあり、子供の頃から魚料理には目が無い。朝昼晩と刺身でもOK、ステーキより焼き魚、鍋の具は鰯のつみれ。全身からウロコが生えてくるのでは、と思ったこともある。

 最近は居酒屋に行っても、刺身は水っぽいマグロとサーモンがメイン、焼き魚は解凍した縞ホッケかシシャモモドキ(カペリン)ばかりで、呆れてため息しか出ない。

 しかし、あるところにはあるのだ、とてつもなく凄い居酒屋が。近所に住む知人に紹介されて、2度目の訪問。

 まずは刺身が極上。皮目を炙った金華鯖、昆布締めの平目、マグロ2種、赤貝、そして珍しいホッケ! これだけで酒2合はいける。

 

 鰊の塩焼きは白子がとろ~り、4時間かけて仕込んだ鮟肝はきめ細やかな味わい。締めの筋子丼はどうしたらこれほどの味になるのだろうと唸るばかりの究極のうまさ。

 さらに当方の肴の進み具合を見ながら、大根葉炒めやちょこっとした煮物などが小皿で運ばれてくる。どれも酒飲みにはたまらない一品ばかり。わかっていらっしゃる。たまりません。

 酒は山形の銘酒をひと通り揃えており、飲み比べもできる。

 店内はカウンターとテーブル席が2つで、御夫婦で目配りするにはちょうどよい広さ。決して流行りにはノラない、頑なで凛とした御夫婦と店のただずまい、好きだなあ。私の家の近所に引っ越してきて欲しい。と思いながら電車を乗り継いで片道1時間15分、家まで帰るのでした。