消えた駅弁19「えびずし/和歌山駅」
和歌山駅では、国鉄民営化以前から阪和第一食堂と水了軒(現・和歌山水了軒)の2業者が駅弁を販売していた。長い歴史の成せるワザか、きちんとすみ分けされており、前者は阪和線(2・3番線)、後者は紀勢本線(4・5番線)のホーム上に売店があった。 「えびずし」は、阪和第一食堂が調製する昭和の名物駅弁だった。白いプラスチック容器の中には、うまそうに赤く染まったエビをのせた握り寿司が6カン。ほか...
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和歌山駅では、国鉄民営化以前から阪和第一食堂と水了軒(現・和歌山水了軒)の2業者が駅弁を販売していた。長い歴史の成せるワザか、きちんとすみ分けされており、前者は阪和線(2・3番線)、後者は紀勢本線(4・5番線)のホーム上に売店があった。 「えびずし」は、阪和第一食堂が調製する昭和の名物駅弁だった。白いプラスチック容器の中には、うまそうに赤く染まったエビをのせた握り寿司が6カン。ほか...
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北海道様似町は、日高山脈を背負う太平洋に面した町。水産業、農業、酪農などが盛んで、なかでもツブ貝(真ツブ、灯台ツブ、アオツブ)のうまさは日本屈指。旬の時季にはわざわざ様似にツブを食べに行く人が多いが、私もその一人である。 先月様似に行く機会があり、「ツブを食べよう、いざ!」と小割烹に向かった。数年前にその店で食べたツブがサイコーだったのだ。 しかし店は扉が閉まり、玄関前に「ツブ貝はありませ...
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弁当名は山形弁で「おれたちのごちそう」の意味。山形県のごちそうといえば米沢牛を筆頭に、カニ、そば、サクランボ、ラ・フランス…などなど海山の幸が盛りだくさんだが、県では豚肉の生産にも力を入れており、ブランド化も進んでいる。 駅弁「おらだのごっつお」で使用されているのは庄内豚。引き締まった肉と、きめ細やかな脂肪が醸し出す豊かな味わいが特徴の高品質豚肉だ。 県産米のはえぬきを炊いたご...
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駅弁はご飯のうまさが肝。 どんなに高級な食材を使っていても、どれだけ腕の良い親方が名物料理を作っていても、ごはんがまずければガッカリする。うまい米、ご飯を詰めた上等な駅弁はサイコー、毎日でも食べたい。 そんな駅弁を作ろうと、米にこだわった駅弁を旅行会員誌『ジパング倶楽部』で企画し、私もスタート時から参加した。 まずは外堀から固めようと容器についてディスカッション。昔から駅弁容器...
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山吹色のふたが売り場でもひときわ目立っていた。 上に描かれているのは北海道の地図とJR路線図。「スーパーおおぞら」や「スーパー北斗」「特急オホーツク」など北海道を代表する特急の写真が散りばめられて、なんだかひと昔前の駅弁を思い起こさせた。 ふたの左下に「客室乗務員オリジナル企画商品」とあるが、これは2013年頃までのデザイン。その後は山吹色が白くなり、「客室乗務員~」も消えて、...
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久しぶりに単行本を出します。よろしくお願いいたします。 日本には知られざる至福の味、隠れた名物がたくさんあります。 かなり私的ではありますが、足で歩いて見つけた“うまいもん”厳選100品を紹介した単行本 『 日本が誇る絶品の食遺産100 』が天夢人より発売されます。旅先で食べたあの味、その味を取り寄せできる店。コロナ禍で旅行に出かける機会が少なくなり、家にいる時間が増え...
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ふたを開けるとイカ、いか、烏賊! やりいかがたっぷり盛り込まれた、やりいかの甘味を味わえる唯一無二の駅弁だった。 調製元は、いかしゅうまい発祥の店として知られる唐津・呼子の「萬坊」。海上レストランで有名だが、やりいか本来の上品な甘みと旨味、歯ごたえを多くの人に味わってほしいと駅弁の商品開発に携わった。 使用するのは調理するまで透き通っていた刺身用の新鮮なやりいか。和風だし汁でさっ...
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JR予讃線松山駅の構内、改札口の真正面にワゴンの売店を出していた鈴木弁当店。本当に真正面にあって、改札を通るといつも素通りできずに売店に寄り、駅弁をひとつ、ふたつ買っていた。 その鈴木弁当店廃業のニュースを聞いたのは2018年。ウソだと言って! ショックだ。私の頭の中にある松山駅の風景に駅弁ワゴンは外せない。駅弁を売っていたオジちゃん、オバちゃんの顔もはっきりと覚えている。 「...
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いなり寿司の概念を変えた笑撃的な駅弁だった。 長方形の発泡材容器には、5個の稲荷寿司と副菜が整然と並んでいる。 ん? 稲荷寿司? 大きく口を開けた油揚げの中には国産米を使用した酢飯と、デミハンバーグ、エビコーンマヨネーズ和え、鶏の空揚げ、しらす炒め、サケと卵そぼろの5種類のおかずが詰められている。付け合わせはかまぼこ、五目卵焼き、生姜酢漬けのラインナップだ。 稲荷寿司なのか? 揚...
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”奈良 吉野”とあるが、販売しているのは上野駅、東京駅、駅ナカの売店など東京周辺。奈良市にある柿の葉寿司の名店・中谷本舗の国立工場が調製している。杣人とは木こりのことで、西吉野村に暮らす人々を撮った河瀬直美監督のドキュメンタリー「杣人物語(そまうどものがたり)」を覚えている人もいるだろう。映画は「そまうど」だが駅弁は「そまびと」である。 掛け紙に描かれたイラストは大きな切り株。...
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