こんにちは!
売れる仕組み創造ラボ、所長の理央です。
今号の特集は、「なぜ、アマゾンは、薬局ビジネスに参入するのか?」〜医療産業のIT・DXへのマーケティング、メリットと考えるべき点」について、考えていきましょう。
■目次
… 1.今週の特集
「なぜ、アマゾンは、薬局ビジネスに参入するのか?」〜医療産業のIT・DXへのマーケティング、メリットと考えるべき点」
… 2.ビジネスコラム
マーケティングで成果を出せる情報の気づき
… 3.著作・イベントのお知らせ
… 4.編集後記
第1特集
【なぜ、アマゾンは、薬局ビジネスに参入するのか?」〜医療産業のIT・DXへのマーケティング、メリットと考えるべき点】
米アマゾン・ドット・コムが、中小の薬局と組んで、日本で処方薬のネット販売への参入を、検討していることが分かった、と昨年報道されました。
今月下旬から、電子処方箋が運用されることもあり、医療にもデジタル化の波が、押し寄せてきています。
日本経済新聞によると、アマゾンが検討している新しいサービスでは、オンラインで、医療機関での診察をしたお医者さんが、受診した患者さんに、これもオンラインで処方箋を発行する、というイメージなのでしょう。
その処方箋を、アマゾンのプラットフォーム上で、A、B、Cどの薬局がいいのかを相談して、どれにするかを決め、決めた薬局から自宅に配送してもらう、という仕組みです。
以前は、処方薬は医者で出してもらうものでしたが、今は、医薬分離が進んで、医者に書いてもらう処方箋をもって、調剤薬局に行かなければなりません。
大半の場合は、病院の前や近くにはありますが、それでも一度外に出て、多い時はいくつかある調剤薬局から選んで、そこで受け取る、という感じです。
このコロナ禍の中で、医療もオンラインで行うという特例措置が出ましたが、これが本格的にできるようになると、もし、外出が難しく、オンラインで医療を受けることができたとしても、出してもらった処方箋をもって、調剤薬局まで出向かなければなりません。
今も一部大手の薬局はオンラインで服薬指導をして、場合によっては薬の配送もしているそうですが、多くの薬局では即日配送だと、三百円ほどかかるそうです。
アマゾン薬局ができれば、この手間を省くことができるようになるので、その意味では、顧客の使い勝手があがり、また配送料も安く設定してきそうです。
今はオンラインでの医療に関しては、医者側は積極的ではなさそうですし、患者側も慣れていませんが、便利さがあり慣れてくると、浸透することも十分考えられます。
そうなると、医薬業界の市場も大きく変わりそうです。
このように、アマゾンの進出によって、市場が変わってしまうことを、“アマゾンエフェクト”と呼びますが、また発生する可能性はありますよね。
アマゾンはともかく、診療のオンライン化は避けて通れません。
ITの浸透による、消費者行動の変化は、医療にも及んできています。
そしてIT化の動きは「不可逆」で、元に戻ることはないでしょう。
IT導入の設備投資に、積極的なお医者さんや薬局にとって、早く取り入れる方が有利になると思われます。
また、アマゾンとしては処方薬の販売に加えて、顧客データが収集できることが重要だ、と考えているはずです。
これまでは、本や雑貨、ビデオや音楽といった商品やサービスにおいて、ユーザーの好みを分析して、サイトを改善したり、レコメンデーションを出していました。
私が在籍していたころから、それがAmazonの最大の差異化ポイントです。
今回はそれに加えて、ユーザーの健康に関する個人情報が、入手できる可能性もあります。
消費者の健康に関する関心や興味は、ますます高くなっています。
ユーザーが処方箋で調剤薬を入手する、ということは、そのユーザーが、どんな健康への関心事項を持っているかが、推測できることになります。
これは私の推測ですが、こうなると、「この人には、健康に特化したスマートウオッチを、レコメンドしよう」などと、AIを使った仮説構築による、レコメンデーションが、できるようになるでしょう。
一方で、オンライン薬局を利用する患者側は、自分の病気や怪我の中身も、データとして提出することになります。