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1.戦わずして勝つ。ブルーオーシャン戦略を学ぶ。
2.MBの推薦書「世界一美味しい煮卵の作り方」
3.Q&A
Q.「今の状況を打破するには?」
1.戦わずして勝つ。ブルーオーシャン戦略を学ぶ。
「ブルーオーシャン」という言葉があります。フランスの欧州経営大学院教授のW・チャン・キムとレネ・モボルニュにより提唱された概念です。競争の激しい既存市場を「レッドオーシャン」とした上で、その逆である競争のない未開拓市場のことを「ブルーオーシャン」としました。
堅苦しい経済用語を使わずともこれは体感的にも理解できることです。「皆が競争している市場で戦うより、自分だけの市場で戦おう」という意味合い。
例えば吉野家、すき家、松屋などの牛丼チェーンは典型的なレッドオーシャン市場。競争の激しい市場では体力のすり減らしの様なことが行われます。「ウチは牛丼280円だ!!」「いやウチは270円だ!!」とコストを減らして体力を消耗し誰かが脱落するのを待つ・・・そんな市場では新規事業者は勝ち目がないし既存事業者も薄利が進み大きな成果を上げることはできない。
しかし一方で同じ飲食でも「俺のフレンチ」などのブルーオーシャン的勝ち組が存在します。フレンチレストランは一客30,000円など高単価な代わりに回転率が極端に悪い業態。そこを逆手に「俺のフレンチ」では「立ち食いフレンチレストラン」という誰も目をつけなかったブルーオーシャン戦略を採用します。立ち食いにより回転率を上げサービスを省き効率化を図る、その代わり単価を一客3,000円程度まで落として「高級フレンチと同じクオリティを10分の1の価格で食べられる」としたのです。
「ブルーオーシャン戦略」とはいわば「差別化の論理」です。社会に生きる限りこの「差別化」はあらゆるシーンで有効です。手前味噌ですがファッションに例えると簡単に理解できます。毎週配信している私のファッション指南メルマガでも度々「差別化」という単語が出てきますが・・・。
「おしゃれ」とはどういう状態か考えてみてください。当たり前ですが「他人と違うから」こそおしゃれと評されるわけですね。
そこには差別化が生きています。ただし「でたらめな差別化」だけでは上手くはいきません。めちゃくちゃな服の組み合わせをしたからといって「おしゃれ」と評価されるわけではありません。「一定の正当性のもと、差別化をする」ことが必要となるわけです。おしゃれに見えるには実は「法則」があります。その法則に基づいて差別化をすることが「おしゃれ」に繋がります。ここに関しては毎週のメルマガで詳しく語っていることなので興味があればそちらにご登録を。
ビジネスも全く同じです。「一定の法則・概念」に基づいて「差別化」することが重要です。またそれは引いては「ブルーオーシャン戦略」となるわけです。今回はこの「ブルーオーシャン」について学びましょう。
▼まずは既に体系化された「ブルー・オーシャン戦略」を学ぼう
ブルーオーシャン戦略はある程度体系化されています。・・・と言っても「これで誰もが簡単にブルーオーシャン市場を見つけることができる」なんてものはありません。それが体系化された時点でそもそもブルーオーシャンが成り立ちにくくなるわけで。「考え方のヒント」にしか成り得ません・・・が、まずはW・チャン・キムとレネ・モボルニュにより体系化された「ヒント」となる3つを紹介しましょう。
▼バリューイノベーション
ブルーオーシャンの中心的概念は「バリューイノベーション」です。経済学部出身者なら誰もが聞いたことがある経営戦略論の古典マイケルポーター。彼は「事業が成功するには低価格化戦略か、高付加価値戦略のいずれかを選択する必要がある」と説きました。一方でブルーオーシャン戦略におけるバリューイノベーションは「低価格化・高付加価値を両立させること」を目指しています。その具体的な考え方は以下の4つが基本です。
・取り除く(低価格化戦略)
業界の既存製品・サービスの中で取り除くべきものを考える
・減らす(低価格化戦略)
業界の既存製品・サービスの中で減らすべきものを考える
・増やす(高付加価値戦略)
業界の既存製品・サービスの中で増やすべきものを考える
・付け加える(高付加価値戦略)
業界の既存製品・サービスの中で付け加えるべきものを考える
上述の「俺のフレンチ」を例に考えましょう。居酒屋・レストラン業界で考えるのならば、彼らは椅子を「取り除き」、ホールスタッフなどのサービス面を「減らし」、席数を「増やし」、通常3000円などでは食べられない高級フレンチ料理という高付加価値を「付け加え」たのです。この4要素を意識すると「低価格化・高付加価値」のアイディアは生み出しやすくなるでしょう。
▼非顧客の3分類
ブルーオーシャン市場は新しい市場の開拓です。これまで顧客ではなかった非顧客に商品やサービスを買ってもらう必要があるわけです。非顧客は以下の3つに分類されます。
・消極的買い手
「消極的買い手」とは現在顧客ではあるけれど購買に消極的であり、代替品が出てしまえば簡単にそちらに逃げてしまう顧客のことです。彼らが何に対して不満を抱き、離脱を考えているのかを検討することで新しい市場のヒントが見えてくるでしょう。
・利用しないと決めた買い手
「利用しないと決めた買い手」とはなんらかの理由で「もう買わない」と決めた人のことです。何らかの不満がありネガティブなイメージを持っています。一体サービスの何が不満なのかを考えることで新しい市場のヒントが見えるはずです。
・市場から距離を置く買い手
こちらはそもそも製品を買わないし、市場に興味のない人のこと。市場のコアターゲットからは最も遠い買い手ですが、ここが反応するサービスを考えることで大きな結果を得ることが可能です。
非顧客の3分類から生まれた発想の例としては「らくらくホン」を挙げておきたい。携帯電話やスマートフォンなどは瞬く間に市場に広がり日本全土を網羅している「レッドオーシャン」です。しかしふと立ち返ってみれば「利用しないと決めた買い手」や「市場から距離をおく買い手」も存在します。それはどんな人か。多くが「操作が難解で使いこなせない」という高齢者でした。「高齢者に携帯電話を持たせる」という発想はまさにブルーオーシャン。製品開発はまんま上のバリューイノベーションの通りですね。無駄な機能を省いて価格を安くし、分かりやすさを付加させたわけです。
▼6つのパス
また考え方のヒントとして「6つのパス」という概念があります。以下の通り。
・代替産業に学ぶ
例えば雑誌とインターネットなど。読み物という意味合いでは代替産業と言えるでしょう。昔は「ブログによる日記」「2chなど掲示板による情報交換」などがネットの大半でしたが、最近では「雑誌的なコンテンツ訴求」を行うサイトが多いですね。こういった代替産業の特性から自社のサービスを策定することでブルーオーシャンが獲得できる可能性があります。
・他の戦略グループから学ぶ
例えば「俺のフレンチ」などが典型ですね。同じ飲食業界でも「高級フレンチレストラン」「立ちのみ居酒屋」と異なる戦略グループの掛け合わせで成り立ったと言えるでしょう。
・買い手を分類する
例えば「おもちゃ」など購入者と利用者が違うケースなどは多々あるわけですが、ここをヒントに考えます。「クレヨンしんちゃん」の映画は「子供を連れてきた親を泣かせよう」という裏コンセプトがあるらしいですが、まさにこれは「買い手の分類」に基づくものですね。通常「利用者」への満足度ばかりを考えがちですが、クレヨンしんちゃんは「購入者」である親への満足度を意識して働きかけたわけです。「特撮モノにイケメン俳優を起用してお母さんを取り込む」なんてのもそうですね。
・周辺商品を探す
付属品だったり消耗の激しいパーツなど「周辺商品」を考えることです。例えば「洋服のお直し屋さん」などはここにヒントがあります。洋服は吊るし品がほとんどですから、各個人の体型にぴったり合う様には作られていません。またデザインが飽きた洋服を染め直したり、長袖を半袖にしたり、低価格で「改造」も可能です。こうすることで「低価格で新しい服を手にいれる」というバリューイノベーションが作れることも。(私はお直し屋さん市場は超ブルーオーシャンだと思ってます)
・機能と感性の切り替えを検討する
例えば「時計」などは典型ですね。機能だけを考えれば「電池式のクオーツ時計」に勝るものはありません。かつてゼンマイ駆動(ねじで巻き上げるタイプの時計)の「機械式」は日本製のクォーツ時計に駆逐され倒産が続きました。生き残るために訴求したのは「精度」よりも「ブランド」でした。「機能」で戦えばクォーツには敗北する、であるならばと「ブランド性」「格好よさ」「イメージ」などの「感性」で勝負したわけです。今では「機械式の高級時計」と「機能性の高い安価なクオーツ式時計」の住み分けが出来ていますね。
・将来性を見る
少子化、高齢化など市場の変化をみることです。上述の「らくらくホン」などは典型ですね。
さて既存の体系化されたブルーオーシャン戦略を紹介しました。上の3つから考えを巡らせるわけですが、、、もちろん結局は「既存の考え方を崩す」ことをしなければいけないわけでそれはある意味普通にできることではありません。上の3つの概念で実践可能な人もいるでしょうが・・・私はもっとシンプルに、体感に基づいて理解しやすい概念を提供したい。
次項で説明しましょう。上は少々難解で理解するのに時間もかかりますが、私の方法はもっともっと簡単です。事実私は上の概念を意識せず、次に説明している私流の方法でブルーオーシャンを見つけてきました。それは一体どんな方法か、それは・・・