こんにちは!
売れる仕組み創造ラボ、所長の理央です。
今号の特集は、「新規事業立ち上げや新製品開発に必要な力とは?〜ビアボールから学ぶ市場の作り方」です。
■目次
… 1.今週の特集
「新規事業立ち上げや新製品開発に必要な力とは?〜ビアボールから学ぶ市場の作り方」
… 2.ビジネスコラム:おすすめビジネス書
「13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海」
… 3.著作・イベントのお知らせ
… 4.編集後記
第1特集
【新規事業立ち上げや新製品開発に必要な力とは?〜ビアボールから学ぶ市場の作り方】
サントリーが11月15日に、発売を予定している「ビアボール」が話題になっています。
ビアボールとは、アルコール度数16%のビールで、炭酸水で割って飲むことを前提としています。
ホームページによると、炭酸水で割ることを、製品上で訴求するのは、日本で初めてビール(Mintel GNPDを用いた当社調べ2022年5月)、ということだそうです。
値段は、334ml瓶で698円と少し高めですが、割って4回で飲めば200円を切るくらいですね。
そこには、作り方の動画もアップされています。
グラスにたっぷりの氷を入れて、ビアボールを注いでそこに炭酸水を入れてゆっくりかきまぜるそうです。
アルコール度数が16%と高めですが、こういう風に割って飲めば自分の好きな濃さで、好きなペースで飲むことができます。
ウイスキーを炭酸水で割って飲むのがハイボールなので、ビールを割って飲むのがビアボールなのでしょうか。
ネーミングもわかりやすくて面白いですよね。
7月29日の日経MJによると、ビールはいろいろなお酒の中で「飲み方が少ない」、ということに、社員の方が気づいたそうです。
確かに、日本酒は冷やしたり、熱燗にしますし、ウイスキーもそのままだったり水でわったりします。
なので、「ビールにも割って飲むものがあってもいいのじゃないか」と考えたそうです。
これには社内でも賛否両論あったようです。
先程の開発過程の動画には、社内の人たちが「それ大丈夫かな」、「何を言っているんだろう」と驚いたそうです。
先日、ローソンが開発しヒットしている、おかずが1品だけの「だけ弁当」の開発時も、「そんなの売れるわけがない」という声が社内では一般的だったそうです。
これも同じですよね。
確かに、業界で初めてのことをやる時には、社内をまずは説得しなければなりません。
歴史のある企業であればあるほど、「そんなのうちはやったことがない」と反対されることは多いはず。
でも、サントリーにはイノベーション部という部署があって、そこが開発をしたようで、動画でも熱意を持って開発の様子を語っています。
市場のユーザーは、ビールを割って飲むことを想像もしたことがないでしょうから、まず、そこから覆さなければなりません。でも、もしビアボールが「割って飲むビール」、というカテゴリーを作ることができたら、後発のものが出てきても、「最初に思い出してもらえる」ブランドになります。
先行者利益を得られるのです。
ブランドを作っていく時に、「電気自動車といえばテスラだよね」、とカテゴリーで最初に思い出してもらえることは、とても大事なのです。
どんな新商品も産みの苦しみは大きいものです。
しかし、その分成功すれば大きいですよね。