【MBの"超"思考】結果を出すとは、何かを捨てることである。

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1.結果を出すとは、何かを捨てることである。

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1.結果を出すとは、何かを捨てることである。

先日とある法人団体に呼ばれてビジネスセミナーを行ってきました。この連載の影響もあるのか・・・お陰様で法人セミナー、法人コンサルの案件を多数頂戴しております。またビジネスセミナーに関しては大変ありがたいことに100%リピート頂いてます。「今度は違う部署の人間も呼ぶからもう一度話してほしい」「今度はワークショップ形式にして具体的な方法論まで落とし込んでほしい」などなど。こうして支持されるのは嬉しい限り、感謝しきりです。

私にとってもリピート講演は「セミナー参加者のその後」が分かる良い機会となっています。先日のセミナーでも「前回の講義内容を実践して大成功しています」という人とお話しする機会がありました。数字まで伺ったのですが業界の常識を遥かに上回る圧倒的な数字を叩き出しており、そこにはお教えした「PDCAサイクルの具体的な組み立て方」が生きていました。

しかしながら当然成功する人とは裏腹に、セミナーに参加したけど相変わらず同じ様な結果しか出ていないという人も当然いるわけです。この「成功と失敗」を分け隔てているものは一体何なのでしょうか。今回はそんな話をしていきます。

学校感覚ではどんな成功法則も無価値

世の中には優れた自己啓発書が星の数ほど存在します。優れたビジネスセミナーも多数開催されています。私が敬愛するドラッカーの「マネジメント」は事業を進めていく上での必要な考え方が全て掲載されているくらい。私は学生の頃から今までで何度も何度も読み返しましたが、読み解く度小ぶりな書籍の中に膨大な情報が詰め込まれていることに気がつきます。世界中の成功者がバイブルとして認めている「マネジメント」ですが、しかし無論この「マネジメント」を読んだからと言って皆が皆成功するわけではありません。どんなに優れた自己啓発書でもビジネスセミナーでも成功する人は参加者の1%にも満たないでしょう。

多くの先達が苦労して生み出した成功法則をモノにできるかどうか・・・それは「受動的」か「能動的」かこの態度の違いがまず一つキーポイントです。

セミナーの形式は「学校」を思い出させます。教壇がありそれに向かって皆座り学習する。もしかするとこの形式そのものが悪影響ではあるのかもしれません。学校は受動的な学習の典型です。「自分で創造する」のではなく「与えられたものをこなしていく」という態度のほうがしっくり来ます。

学校では問題を解く順番、答えが書いてある範囲、かけるべき時間などが全て与えられます。しかし社会においては自分でそれらを導き出す必要があります。学校は「受動的」ですが社会は「能動的」を求めます。セミナーをモノにする鍵はまさにここにあり「能動的」な態度で挑まなければ意味を為さないでしょう。

そもそも成功法則とはいつも抽象的です。「あなたは明日からこの仕事をこのくらい時間をかけてこうしなさい」と言えるわけもありません。ドラッカーが読者の具体的な業務内容を理解して書籍を書いていたら1万冊あっても説明し終えることがありません。成功法則は万人に発信するものである以上、誰にでも当てはまる様に「抽象的」にならざるを得ないのです。

抽象表現はそのままでも十分「タメになった感」があるのが厄介です。「事業は顧客から創造する」はドラッカーの名言ですが、「ふんふん顧客目線が重要なのね」と言葉通り受け取ることも出来ます。しかしそれでは意味がありません。「顧客目線が重要」という言葉をただ脳みそにインプットしただけでは日々の仕事は何一つ変わりません。「顧客目線が重要」という暗記は出来たとしても、実際の現場では顧客に洋服を売りつけて「個人売上が足りないんですよねえ・・・」と相談してきたりするわけです。それのどこが「事業を顧客から創造している」のか。売上を作るために、自分の"食いぶち"を稼ぐために、顧客を利用してるだけじゃん、と。

「事業は顧客から創造される」、まず自分のビジネスにおける顧客とは誰だろう??その顧客は一体何を望んでいるのだろう??そして自分がその人たちに提供できる価値とは何だろう??と抽象表現から丁寧に自分のビジネスに置き換えて「具体化」することが必要なのです。これが「能動的な態度」です。

また一つフォローをしておくと、この「具体化作業」がどうしても出来ないからこそ「セミナー」「コンサルタント」という段階があるのです。「本」は数万人に向けて書くために、数万人に共通するように抽象表現にならざるを得ません。だからこそ上の様な「具体化作業」が必要となります。「自分だったらどうするか」というものですね。一方で「セミナー」は限られた数十名に対して行われるものであり、顔の見える相手に向けて喋ることとなります。だからこそ抽象化された表現だけでなく「例えばあなたのビジネスならね・・・」と具体化した説明も多く生まれます。さらに「コンサルタント」であれば限られた一社に対して行われるわけですから、「具体化作業すら請け負う」とも解釈できますね。私に限らず多くの人がそうですが、本・セミナー・コンサルその3つは実は全て同じ内容を喋っています。違うのは具体化作業の程度です。(そのほかにも法則を体得している人の喋り方や考え方を「臨在」として体感できるというものもありますが、内容ベースでは具体化の程度のみです。)しかしこの具体化作業が実に重要なポイントであり、本を読む、セミナーを受ける段階においてはこれを「能動的」にするかしないかが成功を分け隔てるポイントとなるのです。

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