
いつも、このメルマガを愛読いただき、ありがとうございます。マーケティングアイズの理央 周(りおう めぐる)です。
2018年になりましたね。今年の目標は立てましたか?
私は、今年3つのことを目標に掲げています。
- 6月までに新しい教育事業の新法人を立ち上げる
- それまでに東京オフィスを立ち上げる
- 2018年も1冊書き下ろしの新刊を出す
あなたの今年の目標は何ですか?
一人勝ちアマゾンに対抗する、日本の有力企業に学ぶ市場での戦い方 アマゾン エフェクトにどう対抗するのか?
昨年の流行語にもなった、「アマゾン エフェクト」世界中の小売業の全てを飲み込んでしまう勢いで、アマゾンが成長していることを表す言葉です。
米国では、トイザらスや大手百貨店の破綻や、GAPの苦境など、アマゾンの影響を受けています。
アマゾンを使う人たちが増加し、それに伴い、アマゾンの売り上げも増加、その利益を次の事業に再投資し、また成長をする、というループが作られているように見受けられます。
新年1月3日の日本経済新聞の、2018年の焦点、ニッポンの革新力というコラムに、「アマゾンに一矢なるか」という、興味深い記事が載っていました。
記事には、日本企業もただ、指をくわえて見ているだけではなく、知恵を絞っている、という事例が載っていました。以下、記事からの抜粋です。
セブン&アイ・ホールディングとアスクルが始めた、「IYフレッシュ」では、アマゾンより少ない5000品目に絞り、その分、配達の時間の正確さや品質管理に絞っている。
スタートトゥディの「ゾゾタウン」では、センサーで採寸できる全身タイツのようなスーツを配布。
AIスピーカー「クローバー」を出したばかりのLINEは、キラースキル(ソフト)の開発が勝負と、対話アプリからの発展に注力。
家電量販店大手のヤマダ電機は、キーワードを、ネットと自動車、とし、サービスは価格だけではない、と、大型のリアル店舗を全国に持っていることを、最大の強みと認識し、ネットとリアルの融合を、対人でカバーする、という戦略をとる。
このように、錚々たる日本企業も、アマゾンの脅威をそれぞれ受け止め、戦略を練っています。
強大な競合が現れた時には、もちろんのこと、自社だけが提供できる顧客価値、すなわちUSP(=Unique Selling Proposition)を、明確にし、さらに強化する、改善するなどの、努力を重ねていきます。
その際に、重要なことは、その事業のコンセプトを明確にすることで、競争優位の立場を確保することです。
フレームワークの復習:事業コンセプト
事業コンセプトとは、自社プロダクトを端的に表す「概要」です。
具体的には、「誰に、自社のプロダクトを、どうやって提供するか」という内容を含む、「自社が顧客に提供しようとしていること」です。
事業コンセプトを明確にすることで、現行の顧客には安心感を与えることができ、新規顧客候補の心をつかむこともできるようになります。
大企業の事例を挙げて考えてみましょう。スターバックスの、「自宅、学校や職場、に続く第3の場所を提供する」というコンセプトは有名なので、聞いたことがあるかと思います。
店頭では珈琲はもちろん、スイーツやパン類も販売していますが、「コーヒー好きのお客様に(誰を)、リラックスできる場所でコーヒーを(自社のプロダクトを)、カウチやソファなど使って、リラックスして楽しんでほしい(どうやって)」という明確なコンセプトが、商品ラインアップや店内の雰囲気、そして出店している場所にまで表れています。
私の古巣アマゾンも、日本に上陸当時の2001年時には、「本好きのユーザーに(誰に)、あまたの選択肢の中から、協調フィルタリングを用いて(自社プロダクトを)、迅速に正確に(どうやって)届ける」をコンセプトにしていました。
ここまで書いて気づいたかもしれませんが、スターバックスはコーヒーだけでなく場所を、アマゾンは商品の値段や幅広さだけではなく利便性を、それぞれ、事業コンセプトとして全面に押し出しています。
両社とも、単にコーヒーを売るとか、安くネット通販をするということを超えて、顧客が自社プロダクトを購入するときに、うれしく感じることを実現させたり、困るであろうことを解決しています。
コーヒーのみを事業コンセプトの中心に据えると、業界内に数多くいるライバルとの「直接対決」になり、価格競争に陥りがちです。
この2社のようにコンセプトが明確だと、想定顧客層は、同じ業界にいる競合他社よりも、全く違う価値を提供してくれる企業に見えるため、選ばれる理由になり、ひいては、競争優位に立てるのです。
この点は中小企業や大企業の新規事業も同じことで、自社が戦う場所と狙うターゲット層が決まったら、事業のコンセプトを明確にすることが重要です。
中小企業における注意点は、ここでも「絞る」ことです。特に、前章で絞り込んだターゲット層に向けて、競合他社と比較し、何が提供できるかを練ります。
アマゾン エフェクトに対抗するために、IYフレッシュやゾゾタウンから何を学ぶべきか?
アマゾン エフェクトは、何も大企業だけが考えに入れるべき脅威ではありません。
中小企業や、ベンチャーも、アマゾンや黒船のようにやってくる、巨大企業が、ITやAIを駆使して、あなたが戦っている市場や業界に、入り込んでくる可能性があります。
アマゾン エフェクトに対抗する、上記の日本企業が打っている一手から、あなたは、何を学ぶべきでしょうか。
まずは、あなたのビジネスの、事業コンセプトを明確にすることから始めます。「何を持って、誰を幸せにするのか」この時に注意すべきは、自社の強みを、顧客価値に置き換えることです。
スターバックスの事例で考えると、広いスペースや、カウチとテーブルなどが強みだとすれば、「ゆったりと勉強や仕事、読者ができる空間」が、顧客価値、ということになります。
IYフレッシュの事例で言えば、「生鮮品そのもの」というより、「便利に新鮮な生鮮食品を買うことができる」ということが顧客価値です。
次に考えるべきは、その事業コンセプトで提供する、あなたのビジネスの価値を、他社に「真似されない」ように、参入障壁を高くする、という点です。
ゾゾタウンは、できる限りフィットできる服を選べるように、計測できるスーツを配っています。これにより、この計測スーツを持っている人にとって、ネットで買う時には、ゾゾタウンの服を選ぶようになります。
他社にできなく、自社だけができること、特に、AIや イオTが浸透してくると、大企業や先行している企業が優位になりがちです。
そういう時のために、逆張りで考え、アナログやリアルでなければ、できないことを、今のうちから考えておくことが、AIの浸透に備える一手になります。
あなたも、明日からやってみてください。
*先月から、このメルマガの「特集」記事を、リニューアルしました。
この「売れる仕組み創造ラボ」のメルマガを、最新のマーケティング情報発信に加えて、あなたの仕事での成果につながる、内容と構成にしていくためです。
ピックアップするテーマも、最新の売れ筋情報、ヒット商品、マーケティング的な視点から見た新しさ、顧客視点に立っている事例、という基準で選定していきます。
特集の構成を、
- 市場で売れている商品やサービスの事例をピックアップ
- 「誰に、何を、どうやって」のフレームワークで解説
- マーケター視点の“ポイント”を指摘
- 自社に当てはめるにはどうすればよいのか
としていきます。
より深く理解することで、仕事の成果につなげるために、「課題解決につながる 実践マーケティング入門」を、(→http://amzn.to/2yaTmzW)の参照ページも記載していきます。このメルマガとの副読書として、この本を併用することで、あなたの仕事での成果を、倍増してください。
■目次
… 1. 特集「アマゾンエフェクトにどう対抗するか?」
… 2. コラム 「人生100年時代のキャリアの作り方」
… 3. 時間術「成果につながる行動計画とは?」
… 4. 著作・イベントのお知らせ
… 5. 編集後記