米朝首脳会談の成果・米国が仕掛ける貿易戦争・イオン株とHEROZ株

■米朝首脳会談の成果・米国が仕掛ける貿易戦争・イオン株とHEROZ株

 最新刊の『習近平の真意:異形の大国を操る』(発行:李白社、発売:徳間書店)が発売直後にさっそく増版となりました。風雲急を告げる朝鮮半島情勢をめぐる日・米・中・朝・韓の駆け引きと、広大な国土および巨大な人口を持つ中国を率いる習近平総書記に焦点を当てて、東アジアの政治・経済を詳細に分析しています。全国の大手書店に並んでいますので、ぜひ、ご一読ください。

●共同声明で北朝鮮の完全非核化の約束を再確認した金正恩委員長

 アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長は6月12日にシンガポールで史上初の米朝首脳会談を行い、2人が署名した共同声明も発表しました。共同声明には「トランプ大統領は北朝鮮に安全の保証を与えることを約束し、金正恩委員長は朝鮮半島の完全非核化への確固で揺るぎのない約束を再確認した」と記したうえで、新しい米朝関係の確立、朝鮮半島の平和構築への努力、朝鮮半島の非核化を合意した板門店宣言の再確認、朝鮮半島の戦没者の遺骨回収などが盛り込まれたのです。

 ただし米朝首脳会談で最も大きな懸案だとされてきた非核化では、北朝鮮のCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)の文言は入らず、非核化の具体策も示されませんでした。というのは共同声明を作成するときに、北朝鮮に国家機密があるため具体策は出さないことを米朝両国で合意したからです。しかし今後、北朝鮮のCVIDが進んでいくのは間違いありません。

 トランプ大統領も首脳会談後に1人で臨んだ記者会見において、「共同声明で金正恩委員長が約束した朝鮮半島の完全な非核化を実現するために積極的な交渉を続ける。過去のようにはならない。物事を始めず、結果を残すことができなかったオバマ前政権とは違う」と発言し、「完全な非核化を実現するには長い時間がかかる。だがプロセスを開始すれば核は使用できなくなる。プロセスは間もなく始まり、我々は機械的・物理的にそれを可能な限り速く進める」と力説しました。これに「制裁は核兵器の脅威がなくなれば解除する。制裁は大きな役割を果たした。当面は制裁は継続するが、いつか解除できることを楽しみにしている」とも付け加えたのです。

 要するに、トランプ大統領は北朝鮮が非核化を後戻りせずに前に進めていかない限り、北朝鮮に対する制裁を解きません。つまり、これこそ、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」であって、北朝鮮にはいい加減な非核化はけっして許されないということです。

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