北朝鮮の核武装とミサイル~武田邦彦集中講座 複雑な問題を簡単に切る(2)

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◆米の「北朝鮮を滅ぼす」発言を受け。北朝鮮は防衛のために核開発をする。

北朝鮮が「当面、核実験をせず、核実験施設を廃棄し、ミサイル打ち上げもしない」と発表し、多くの日本のメディアや専門家は驚いて見せていました。しかし、私も含めてテレビなどでものごとの解説をする立場の人は、「対象物を複雑に説明する」のではなく、「できるだけ簡単に本質を説明し、その説明を聞いた人が何かが起こった時に「ああ、そうか!」と思えることを言う」のが大切です。

その意味での反面教師が、モリカケ問題で、内容が少ないのに微に入り細にいることによって、できるだけわかりにくく解説し、また国会で野党が追及しているのです。朝鮮半島問題もややそういう傾向があり、極度に北朝鮮や金委員長(最高指導者)を悪く印象付けるなどして、本質から遠ざかる説明をしています。

もちろん、日本人にとっては拉致問題がありますから、北朝鮮という国に対してよい感情を持つことはできませんが、現在の金委員長は拉致には直接的には関係がないので、核やミサイルのことを考える時には拉致問題は別にしておくことです。

北朝鮮が核やミサイルの開発に懸命になったのは、アメリカのブッシュ大統領が「悪の枢軸…イラク、イラン、北朝鮮」とし、「これらの国は亡ぼす」と言ったからで、さらに現実にウソの理由(大量破壊兵器を持っている)を構えて国連の承認もなく、アメリカが勝手にイラクに侵攻し、占領してフセイン大統領を殺しました。

イラクという国は複雑な宗教問題、民族問題(クルド族など)を抱えているので、フセイン大統領の政治がそれほど間違っていたわけではなく、アメリカが占領して以後、混乱が続き、ISと言われるイスラム国も生まれたりしています。イラクが極めて好戦的で、アメリカや中国のように周辺国や世界で紛争ばかり起こしているなら別ですが、単に「独裁国」というだけの理由で力任せに攻撃するなど現在の世界で許されることではありません。

でも、アメリカはイラクを滅ぼしたのですから、同時に名指しされたイラン(現在、アメリカと鋭く対立中で核武装を計画している)と北朝鮮が緊張するのは当然です。敵国に「攻めるぞ」と言われて防御しない国の方が異常です。日本では「防御のやり方が悪い、金委員長の髪型が悪い」などと見当はずれのことを言っていますが、まずは北朝鮮の防衛の権利を認めなければなりません。

◆【著者の考察】北朝鮮が「核とミサイルの放棄」発表に至った本当の理由

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