「働かないふたり」という漫画を読みました。
兄と妹が働かずニート生活を謳歌するというだけの日常漫画。12巻まで続くストーリーの中で特に事件らしい事件は起こらない。ひたすら二人がゲームをしたり、ふざけあったり、お菓子を食べたり、いたずらしたり、といった日常が繰り広げられる。それも舞台のほとんどは部屋の中。
・・・これだけ書くとなんともつまらなそうな漫画ですが、12巻まで続いているだけあってなんとも言えず面白い。月産30万文字を書く日本屈指(たぶん笑)で多忙な私ですが、この漫画のために時間を作ってkindleで一気読みしました。漫画を読むためにまとまった時間を割いたのは10年ぶりくらいかもしれません。
私はこの漫画の何に惹かれたのか、それは「幸せの定義について」考えさせられたからかもしれません。
「ゲームがしたくなったら飽きるまで遊ぶ、お腹が空いたらご飯を食べる、眠くなったら朝でも昼でも寝る」
こんな生活を送っているのがこの兄妹。世間的な価値観で言えば自堕落なダメ人間ですが、作中を通して彼らには悲壮感や危機感は一切ありません。「働かなければならない」「こんな生活を送っているなんて」そうした危機感のある表現は微塵もなく、彼らはひたすら満足げに人生を「ダメ人間」として謳歌します。
友人は幸せそうな彼らを羨ましがり、休日には部屋に遊びに行き一緒にゲームを楽しみます。お金もない、地位もない、将来の保証もないけれど、彼らはいかにも楽しそうで、そして周りの人間もそれに惹かれて集まってくる様が描かれています。
私はこの漫画を読んで「幸せってなんだろう」と今一度考えました。