消えた駅弁7「青函トンネル弁当/函館駅」

 青函トンネルが完成したのは1987年。翌1988年には青函連絡船が廃止され、トンネル内の海底駅が開業された。

 津軽海峡を渡る青函連絡船には、結局1度しか乗ったことがなかったけれど、記念館となって青森港に係留されている八甲田丸には10回ぐらい乗船している。飛行機ばかり使わずに、もっと連絡船に乗ればよかったなと今頃公開してももう遅い。

 函館に「青函トンネル弁当」という駅弁があった。十字縛りの掛け紐はめでたい金色。掛け紙を外すと、容器の真ん中がトンネルの形に仕切られている。色々な駅弁を食べてきたが、この形はほかに見たことがない。

 最初に目がいったのは、そぼろと錦糸卵の間にちょこんと居座る沢蟹の姿。可愛い!!グリーンピースが蟹の吹いた泡のようにも見える。周囲を彩るのは松前漬、イカ飯、アサリ・小エビ・イカの炒め物など。青森と函館の郷土の味が満載だった。

幕の内弁当ではないが、多種類のおかずは酒の肴にぴったりだった。沢蟹はいつも最後に食べていた。

復刻はないかと調製元の函館みかどに電話してみたが「予定はありませんね」とのお言葉。またまたまたまたまた残念。

1050円(当時)/みかど(現・函館みかど<北海道キヨスク>)