こんにちは!
売れる仕組み創造ラボ、所長の理央です。
今号の特集は、「洋服の青山のブランド戦略に学ぶ、ブランド構築のステップ」です。
需要が下がっているスーツ業界で、青山がどんな戦略を打ち、どう売り伸ばしていくのか?
ブランドを構築するために、イメージ戦略以外にすべき重要なことは何か?
についてのヒントを、この記事から見つけてください。
■目次
… 1.今週の特集
「洋服の青山のブランド戦略に学ぶ、ブランド構築のステップ」
… 2.ビジネスコラム(1)
「ゼンショーの謎のコンビニ〜その狙いは?」
… 2.ビジネスコラム(2)
「コカコーラのマイボトル自販機」
… 3.著作・イベントのお知らせ
… 4.編集後記
第1特集【洋服の青山のブランド戦略に学ぶ、ブランド構築のステップ】
スーツの業界各社が頑張っています。
コロナ禍で在宅ワークが増え、対面での営業や仕事が減ったこともあって、スーツの需要が以前よりも減り、業界としては苦戦しています。
さらに、ユニクロやワークマンといった、これまではスーツに力を入れてこなかった、アパレル各社も、カジュアルなスーツやジャケットを、販売しはじめています。
私も持っていますが、ジャージ素材の、ジャケットやスーツも流行っています。
結構使い勝手が良くて、ちょっとした打ち合わせにも着ていけますし、ZOOMなどでの打ち合わせで、シャツの上に羽織って出席することもできるので、汎用性が高いアイテム、ということがいえます。
このコロナ禍で、スーツやジャケットに対する、ビジネス服としてこれまでの常識が変わりました。
べつな表現で言うとすれば、仕事着というカテゴリーの幅が、とても広くなってきています。
そんな中で、スーツの大手各社も、頑張って自社の特徴を出した、さまざまな打ち手を売っています。
アオキは、スーツ中心から、カジュアル路線を強化していて、今流行りのパジャマスーツを販売しています。
ホームページによると、「パジャマ以上、おしゃれ着未満」というコンセプトで、お値打ちですが、遊びや仕事、旅行など、色々なシチュエーションで着ることができる、万能タイプのバリエーションを揃えています。
スーツのはるやまも、カジュアル路線を狙っています。
やはり、オンとオフの境目がなくし、今までよりも、仕事着をよりお得に買いたい、という市場が伸びる、との判断でしょう。
そんな中で、大手の洋服の青山は、オーダースーツを強化する、という戦略に出ています。
今まではこの業界はどちらかといえば、既製品のスーツをたくさん作り、お値打ちに売るという、コストリーダーシップの戦略をとっていました。
アオキやはるやまが、カジュアルにシフトし、この路線の延長でいく中、洋服の青山は既製品を縮小して、少し値段が高くなりますが、ユーザーのニーズごとにカスタマイズできる、オーダースーツを強化するという、差別化戦略に出たのです。
私もたまにオーダーをするのですが、私は背も高くなく、腕も若干短めなので、袖の長さとか、肩幅がぴったりするオーダーが、専門店よりもお値打ちに作れる、となると行ってみたい気になります。
先日も、青山は、オーダースーツの老舗の、麻布テーラーを買収しました。
日経MJによると、青山の自社内にも、「シタテ」というオーダースーツのブランドはありますが、麻布テーラーの知名度と実績によるイメージを生かし、当面は麻布テーラーのブランド名は残して、事業を行うということです。
洋服の青山は、全国に店舗があります。
人流が戻りスーツやジャケットの需要が出てきた時に、「ちょっとくらい高くてもいいので、自分の好みのものが欲しい」
「ぴったりマッチしたものがいい」
という人たちをターゲットにするのでしょう。
コロナ禍の中で「自分を見つめ直す」機会が増えました。
なので、コロナがもう少し落ちついて、外出できるようになると、「自分が欲しいもの」を求める人に受けそうです。
業界内の多くの企業が、安く多く売ろうとしている中、青山は逆に「付加価値」をつけて、売ろうとしているのです。
薄利多売から、差別化に持っていくこの戦略が、上手くいくかどうかは、付加価値の付け方にかかっています。
付加価値は、そのままブランドに直結します。
ブランドを構築するということは、知名度やイメージを上げることだけでなく、品質への信頼感や、機能性への安心感、ターゲット層が「これは自分のマッチしたブランドだ」
と感じるアソシエーションという「連想度」を、高めていくことが必要です。