消えた駅弁15「呼子名物 やりいか重箱仕立て/博多駅・唐津駅」

ふたを開けるとイカ、いか、烏賊!

 やりいかがたっぷり盛り込まれた、やりいかの甘味を味わえる唯一無二の駅弁だった。

 調製元は、いかしゅうまい発祥の店として知られる唐津・呼子の「萬坊」。海上レストランで有名だが、やりいか本来の上品な甘みと旨味、歯ごたえを多くの人に味わってほしいと駅弁の商品開発に携わった。

 使用するのは調理するまで透き通っていた刺身用の新鮮なやりいか。和風だし汁でさっと炊き込んだあと軽く焼くことにより、刺身の味わいを残しながら絶妙な風味と小気味よい食感を実現るすることができた。ご飯が見えないほどたっぷりのったやりいかに食欲がそそられる。

 やりいかとごはんの間には、程よく甘酸っぱい赤かぶ漬け、高菜漬け、きんぴらごぼうや錦糸卵など、やりいかの味を引き立てる種類豊富な素材を挟み込む。色とりどりの季節の美味しさがミルフィーユのように重ねられており、味のバランスも抜群。見た目にもたいへん美しい。

 付け合わせは、茎わかめ、刻みいかの和え物、そして「萬坊」の自慢のいかしゅうまい。

  

 駅弁というより割烹料理店が作る高級弁当。やりいかが泳ぐ玄界灘に思いを馳せながらしばしば食べたものだ。

 終売になったのが本当に残念で仕方がない。順子社長、ぜひ復活をよろしくお願いします~!

950円(当時)/萬坊