いつも、このメルマガを愛読いただき、ありがとうございます。マーケティングアイズの理央 周(りおう めぐる)です。
昨日から、今朝にかけては、今年一番の冷え込み、ということでした。庭の水道も凍りついていて、朝も水が出ず、ピリッとした、朝でしたよね。
あなたも、七草も鏡開きも終わって、仕事モード全開ですよね。
今号の特集では、「独自競争力」に焦点を当てていきます。
NEXT1000企業に見る独自競争力
独自の競争力こそが評価される
日本経済新聞 1月9日の「NEXT1000」の特集は、「独自競争力に評価」という内容でした。
記事によると、NEXT1000とは中堅上場企業。2017年の平均時価総額をランキングすると、高い市場競争力や、技術開発力が評価されている、とのことでした。
市場で生き残り、成長をするには、競合他社より抜きん出て、自社だけが提供できる価値を、いかにして生み出せるのか、が、利益成長や収益力につながると、投資家は評価しているようです。
独自の競争力を持つということの重要性は、上場企業に限らず、非上場のベンチャー企業や中小企業など、どの企業にも当てはまります。
今号では、記事にある事例を参考に、どうすれば、あなたのビジネスにおいて、独自競争力を生み出すことができるのか、ということを考えていきましょう。
フレームワークの復習:独自価値を提供する
まずは、独自競争力を生み出す源泉になる、「独自価値」の復習です。
競争が激しい変化の速い市場において、競合他社と「差異化」したプロダクトを、世に出すことは至難の業です。
機能的価値での競争になり、ひいては値引き合戦に陥ってしまうことを避けるために、顧客のニーズの捉え方と、顧客視点での差異化ポイントの構造を理解しましょう。
【差異化ポイントだけでは不十分POPとPOD】
なぜ差異化が必要なのでしょうか?顧客が見た時に同じまたは似たように見えると、価格が最終的な意思決定の基準になり、ひいては価格競争になるからです。
したがって、誰もが「差異化が必要だ!」、と何をもって差異化できるかを考えます。
しかし、差異化したところで、顧客のニーズが無ければ、やはり買ってもらえませんので、まずは、顧客ニーズの構造を解剖していきましょう。
差異化戦略で有名な、「ブルーオーシャン戦略」の基本的な考え方は、核になる顧客ニーズの中で、他社と「同質化された点Points of Parity POP」で戦うと値引き合戦のレッドオーシャンになる。「差異化できる点 Points of Difference POD」を付加し、血が流れていない市場を創造する というものです。
レッドオーシャンの中でなぜ競争が激しくなるのか、というと「ニーズがあるから」です。
つまり、同質化点としてのPOPは、顧客ニーズが顕在化しています。POPの周囲に規模の大きなニーズがありますが、一方でPOPにおいて、顧客はすでに充足されているため、目に見える機能的な価値や、価格での競争に陥りやすいのです。
ということは、POPの付近にある、「未充足」のニーズを探しだし、自社が提供できるPODを付加して、新しい需要を創ることを目指せばいい、ということになります。
3つの事例から何が見えてくるか?
では記事にある事例を見ていきましょう。
1位はペプチドドリーム。赤字が当たり前のバイオベンチャーで、7期連続の黒字。自社プロダクトの鍵になる新薬候補のペプチドを、通常より短期間で発見できることができる、という点です。
自社だけの特殊ペプチドを保有する、という「プロダクト」そのものだけでなく、「短期間で」発見する技術と能力も、市場は評価する、という点が重要です。
16位のラウスは、経理業務のクラウドサービス化を提供する企業です。
交通費の精算などを含めて、クラウド上で処理するため、導入した企業にとって、紙での処理よりも、作業時間を4分の一に短縮できる、ということが売り物です。
ペプチドドリーム同様、顧客にとっての「時間」を提供しています。
5位はTOKYO BASE。競争の激しいアパレル業の中で、売上も利益も伸びている企業とのことです。品質とデザインにこだわり、価格はやや高め。TOKYO BASEで参考にすべきは、無理な出店拡大をせず営業利益10%超を保つ、という方針を堅持していること。また、主要ブランドでは純国産にこだわる、という点です。
コストリーダーシップをとりながら、自社独自の技術でも差別化できる、ユニクロとは異なる戦略ですよね。
TOKYO BASEの場合、リアル店舗だけではなく、ネット販売の方でも伸ばしていることも、TOKYO BASEでしか買えない、TOKYO BASEで買いたい、と、顧客層が感じているため、大手の通販サイトとの独自化できているのでしょう。
3つの事例から何を学ぶか?
あなたは、この3つの事例から、何を学びましたか?
3社に共通する独自価値は、ゼロからの発見、や、世界に一つだけの製品というものではなく、自社の努力の範囲内からのスタートである、という点にあります。
ペプチドリームとラウルからは、「顧客にとって時間も価値」である、ということ。私のような経営コンサルタントもそうなのですが、弊社からクラインとへのレスポンスの速さ、とか、重要な情報を、スピード持って提案できる、といった、ことが「時間価値」ですし、飲食店であっても、お客様に素早く出せる、とか、流行りや季節のメニューがいち早く提供される、といったことが時間価値になります。
顧客にとって、時間は重要なのです。
TOKYO BASEは日本製であるということ、と、ターゲット層の「今」にマッチした、こだわりのデザイン、ですよね。
大量生産で、あまねく多くの人たちに、ということになると、どうしても売れ残りを掃くために、セールを展開したりということのなりがちです。その中で、品質とデザイン、さらに営業利益10%にこだわることで、価格の安さでないところで勝負する、という方針が顧客への独自価値につながっています。
この3社の独自価値を紐解いてみると、多額な設備投資のもとでの価値開発、というよりも、工夫による顧客ニーズの発見と、そこに向けての自社の強み、という2点につきます。
言い方を変えると、誰にでもできる可能性がある、ということですよね。あなたも、顧客への独自価値、もう一度、再考してみてください。
*先月から、このメルマガの「特集」記事を、リニューアルしました。
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ピックアップするテーマも、最新の売れ筋情報、ヒット商品、マーケティング的な視点から見た新しさ、顧客視点に立っている事例、という基準で選定していきます。
特集の構成を、
- 市場で売れている商品やサービスの事例をピックアップ
- 「誰に、何を、どうやって」のフレームワークで解説
- マーケター視点の“ポイント”を指摘
- 自社に当てはめるにはどうすればよいのか
としていきます。
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