なぜ、今なのか?アマゾンに対抗 セブン・アスクルの生鮮宅配開始=理央周

生鮮宅配開始したセブン・アスクルが、アマゾンにどう対抗していくのか?

フレームワークの復習:市場機会の発見

今号のテーマは「市場機会の発見」です。マーケティング活動の基本は、「美味しい」市場に、「勝てる」プロダクトを当てることです。

美味しい、とは狙う市場が攻めるに値するかどうか、十分が収益を上げる規模がある市場か、という意味です。勝てる、とは自社プロダクトが、その市場において、競合よりも優位性が高い価値を提供できるか、という意味です。

この基本に、今回のセブン・アスクルの、生鮮宅配開始を当てはめて考えていきます。

小売の巨人が、なぜ生鮮宅配開始なのか?

2017年11月28日の日本経済新聞によると、

「セブン&アイ・ホールディングスとアスクルは、28日から生鮮品の宅配サービス“JYフレッシュ”を始める。共働き世帯などのニーズを見込み、カット野菜や調理キットなどの約5000品目を扱う」(以上、記事から引用)

とのことです。

セブン・アスクルの宅配サービス開始の背景には、市場としてニーズも伸びている宅配に向け、来年4月から生鮮宅配を展開するアマゾンジャパンに、先手を打つこと、そして、記事にもある通り、

「配送がタイムリーではないといった、ネットスーパーへの不満を解消したい」(イトーヨーカ堂 IYフレッシュ事業担当大木氏。記事より引用)

という顧客の潜在的な問題の解消。

さらに、小売業において、消費者が欲しいものをどこででも買えるようになっている、「オムニチャネル化」の浸透への対応、という3点が推測されます。

ここに、宅配サービスによる、顧客データベースの入手と活用も、大きな目的の一つと考えられます。

イトーヨーカ堂のような、リアル店舗での、生鮮食品や消費財の販売では、顧客属性や顧客行動のデータを入手することは、容易ではないため、宅配サービスの開始により、届け先を特定し、購買履歴とともに、データベースとして管理し、売上増につなげる、という意味をもちます。

この分野のプロであるアスクルとの、戦略的な提携を組んだことも、特筆すべきことだと言えます。セブンの強みは、豊富な販売網と知名度、仕入に関するスケールメリットを生かせることなど、数多くあるため、ここにアスクルの宅配ノウハウを合わせての、新結合的なポテンシャルを感じます。

ネット販売の覇者であり、顧客データ活用のスペシャリストのアマゾンに、できる限り先手を打つことで、先行者利益を得ることが重要だとの判断で、アマゾンよりも先行してのスタートに踏み切ったのでしょう。

中小企業は何を学ぶべきか?

このセブン・アスクルの宅配サービス開始に、中小企業は、何を学ぶべきでしょうか?

まず、美味しい市場を発見したら、そこに自社だけが提供できる独自価値を、いかに「スピード」持って当てていくか、ということがあります。

伸びている市場ということは、需要の規模も大きいため、収益を上げることもできますが、同時に多くの企業も参入してきます。先行することができれば、認知度と想起率が上がり、カテゴリートップになることができ、以降の戦いを楽にすることができます。そのために、実践まで含めた、スピードが重要です。

配送がタイムリーではない、という「顧客の抱える潜在的なニーズ」を解決したことも、参考にしたいところです。

顧客の問題解決や、ニーズを充足することが、当たり前ですが、顧客価値につながります。その点も、スピード持って実施することで、既存顧客へのサービスの充実にも繋がってきます。

ビジネスは、適者生存です。市場の変化にいち早く対応し、顧客の期待を超える価値を提供することが、市場での優位性を維持することにつながるのです。

■目次

… 1. 特集「アマゾンに対抗 セブン・アスクルの生鮮宅配開始」

… 2. コラム 「台湾ラーメンの破壊度」

… 3. 時間術「仮説検証のヌケ・モレをなくす3つのITツール」

… 4. 著作・イベントのお知らせ

… 5. 編集後記

2.コラム:中華料理とラーメン屋の線上にあるモノは?

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