落語は今日も生きている-COREDO落語会の名高座-(10)春風亭小朝「柳田格之進」 山本益博

落語は今日も生きている-COREDO落語会の名高座-

10、春風亭小朝「柳田格之進」2018.9.29 第15回COREDO落語会

「柳田格之進」と言えば、かつて千石「三百人劇場」での「志ん朝独演会」で聴いた高座が忘れ難い。その晩、「愛宕山」と「柳田格之進」の2席の独演会で、どちらも甲乙つけがたい見事な出来栄えで、奇跡のような一夜だったことを覚えている。

武士の情けを描いたこの人情噺の名作をはじめて聴いたのは、金原亭馬生の高座だった。「柳田格之進」ではなく「柳田角之進」と書いた。「格」も「角」も主人公柳田の実直で、高潔な人柄を表すのにふさわしい一字だが、この人物を描くのは並大抵のことではない。年齢よりずっと老けて見えたというか、若いうちから「老成」を目指していた馬生は、40代でも十分に「老け役」を演じることができた。つまり、年齢が後押しする噺なのである。

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