自分の身体を動かして(結城浩「書くという生活」)

こんにちは、結城浩です。

先日、道を歩いていると、こんな言葉がふっと頭に浮かびました。

 どこか決まった場所に行くことや、

 机に向かうことが仕事の本質ではない。

これは正しいと思います。

仕事を進めるためには仕事をするためにしっかり考えることが本質なのであって、特定の場所(たとえば会社)に行くことが本質ではありません。極端なことをいえば、会社に行かなくてもきちんと仕事ができればよいわけです。そうですよね。

でも、即座に反論が浮かびました。

 確かに、どこか決まった場所に行くことや、

 机に向かうことが仕事の本質ではない。

 しかし、決まった場所に行ったり

 机に向かうことが仕事を進めてくれることはある。

これもまた真理です。

いつも仕事をしている場所に行くことでスムーズに仕事を開始できたり、お気に入りの席に着くと仕事の質が上がったりする。そういうことは確かにありますね。簡単に「なになには仕事の本質ではない」と言い切れるものでもなさそうです。

たとえば結城はよくカフェに出かけていって仕事をするわけですが、そこには自分のノートPCを持っていきます。でも、変な話ですよね。いつものPCにいつもの自分。違っているのは仕事をしている場所だけです。喫茶店に行ったからといってテーブルに置かれたメニューに重要なデータが記載されているわけでもないし、コーヒーカップに並んで参考文献が置いてあるというわけでもありません。でもなぜか、このカフェに行くと執筆が捗るという場所があるのです。

そういえば、執筆に入る前のジンクスを聞いたことがあります。どなただったか忘れましたが、鉛筆をたくさん削っておくとか、顔や手を念入りに洗わないと執筆を開始しないとか。自分の執筆のスタートをするための「儀式」があるのですね。

そう考えると、どのカフェで仕事をするのかというのも、あながち軽視できないのかもしれません。

「どこででも仕事ができる」といえば確かにそうなんですが、そうそう決めつけるものではなくて、

 自分の身体を特定の場所に動かしたときの効果を見極める

ということが大切なのかもしれません。

結城メルマガVol.059より)