すかいらーくは競争激しい中で収益を好転させたのか?
2016年12月期の連結決算を発表した、すかいらーくが好調だ。特に、純利益は対前期比で21%増とのことが発表された。
生活者の節約志向が広まる中、飲食企業の多くは苦戦している。
2月10日付の日本経済新聞の記事によると、主力のガストは、節約思考の波を受け、店舗数や既存店売上高を減らしたものの、多業態で高客単価の、しゃぶ葉に、業態転換をしたこと、データ分析でのメニュー変更などが功を奏したとのことが書かれている。
この競争が激しく、また、景気や消費者の志向性の影響を受けやすい業界において、マーケティングの視点から考えてみたい。
【すかいらーくのデータ分析】
まず、ガストをはじめ、スカイラーク各店舗では、「Tポイント」が貯まり使える。
いわずとしれた、TSUTAYAなどで使える、ポイントカードの一種で、加盟店であれば、条件に応じて、ポイントをためることができ、使える「あれ」だ。
ユーザー視点から見れば、ちょっとした小遣い銭が貯まる感覚で、貯まったポイントを使うことができるのがベネフィットだ。
企業側から見ると、ユーザーが、「いつ、どの店舗で、何を、どれだけ買い、いくら使ったか?」が、分かり、そのユーザーの個人情報と合致させることができる。
すなわち、「ビッグデータ分析」に使えるのだ。
すかいらーくグループを例にとると、ガストなどの各業態で飲食をしたお客様が、いつ、何を食べ、いくら使ったかを、POSデータの様に使い把握できる。
このデータの山を分析し、各業態の店舗の業態での消費がどのような傾向にあり、どのようにシフトしていくかを推測する。これが、ビッグデータ分析と、その活用だ。
日本経済新聞の記事によれば、すかいらーくでは、節約志向の強まりをデータ分析で確認したので、メニューの8割を入れ替え、価格据え置きで、ハンバーグを増量、5~600円の値ごろ感のあるメニューを充実させた、とのことだ。
【中小企業は、すかいらーくの奮闘から何を学ぶべきか?】
では、我々中小企業は、すかいらーくのこの奮闘の、何を参考にし、何をすべきだろうか?
Tポイントカードを導入し、ビッグデータ分析ができる体力がある企業ならよいが、やはり導入の初期コストがかかる。
なので、同じ考え方で、小規模なデータ分析をすればよい。
まずは手持ちの顧客名簿を見直し、エクセルでよいので、顧客情報を入れる。
そして、顧客の購入状況(BtoBの場合は契約状況)を、いつ、何を、いくら買ったのかを入力していく。
そして、ある程度データの母数がたまってきたら、まずは、個数や購入金額の増減の傾向を見てみる。
景気がよくない時期に、購入数冶金学も減っていれば、それは節約志向に入った傾向がある、というサインなので、「お買い得感」のあるメニューを充実させる。
そして、増加傾向にあれば、自社の戦略がはまっているか、景気が上昇していることが推測されるので、強気の価格設定、メニュー構成にする、といった具合に、シフトさせていく。
KKD、勘と経験と度胸がとても重要だが、十分ではない。
このような、数字での判断があると、鬼に金棒になるのだ。
気を付ける点は、節約志向だからといって、安かろう悪かろう、という形で、商品の質を落としてはいけない。
お客様は正直でかしこいので、美味しくない商品では、いくら安くても、リピートしなくなってしまう。
安いのがいいのではなく、この価格でこの値段、という感覚に、お客様になってもらうことが大事だ。
■目次
… 1. 特集 「すかいらーくは競争激しい中で収益を好転させたのか?」
… 2. コラム 「交渉を有利に進めるハラグロ会話術」
… 3. 書評 「仕組み経営で勝つ」
… 4. ワンポイント時間術「結果を出したいのであれば、雑誌はコンビニで買え!」
… 5. 著書・イベントのお知らせ
… 6. 編集後記