HIS、星野リゾート、ニトリに学ぶ 競争での戦い方=理央周

いつも、このメルマガを読んでくれて、ありがとうございます。

来月は、いよいよニューヨークに研修ツアーです。東京、横浜、名古屋、京都の、経営者の皆様をお連れして、マーケティング的な見所を周り、ビジネスに活かせる「気づき」を得る旅になります。

アマゾンブックスや、グロサリーストアとレストランとのを合体させた、グローサラントなどなど、ニューヨークには、新しい業態のビジネスモデルが盛りだくさん。

現地で働くビジネスマンたちとも、ビジネスランチをして、生の情報を得てきます。

このメルマガでも、報告をしていきますので、楽しみにしていてくださいね。

今号は、「ファッション業界で生き残るのは誰だ」というテーマです。

それでは今号も、最後まで読んでください。

特集【HIS、星野リゾート、ニトリに学ぶ競争での戦い方】

ここのところ目立つ、大企業の差別化、独自化戦略。それもそのはず、日本国内では人口の減少、それに伴っての競争激化、さらに、AI、IoTなどのITの真価が拍車をかけている。

今号では、様々な業界の企業の、工夫を凝らした戦略や施策を紹介していき、ビジネスのヒントにしていきたい。

ホテル業界、対照的な星野リゾートとHIS

日本経済新聞4月12日の記事、「個性競うホテル ロボvs人間」というのがあった。

様々なメディアでも取り上げられている、HISの「変なホテル」と、従業員のサービスの質で特化する、星野リゾートの対比だ。

変なホテルの方は、ロボットに接客などを対応させることで、省人化、効率化を目指している。この頃は、チェックアウト時に、部屋のカードをキーボックスに入れるだけで、全ての手続き完了ができるホテルも多いが、変なホテルでは、チェックインからアンドロイド的な「ロボット」が対応する。

記事によると、掃除や窓拭きなど、多くの「手作業」を自動化している極端さが目新しい。同程度の規模のホテルの4分の1の人員で、6割の利益率と、高い効率化を目指す。

一般的に、ホテルや飲食店など、ユーザーと近い距離でサービスを提供する場合、省人化することによって、サービスの質が落ちる、という認識がありがちだが、変なホテルにおいては、その点を、エンタテイメントの要素を入れ込むことによって、逆張りで、楽しんでもらう工夫が各所にある。

ビジネスモデルの一種に、現状のサービスを分解し、不要な部分をそぎ落として、相対的な価格を下げる、「アンバンドリング」という考え方がある。

例えば、焼肉定食1500円とした場合、ばら売りをして、焼肉1000円、ライス200円、味噌汁200円、漬物200円で売り、好きなものだけ頼んでもらう、という具合だ。

大企業の事例で考えれば、理髪店の水回りを省いた、QBハウスは、低価格と時間短縮を価値として提供し、機内サービスを省いたLCC各社は、低価格を提供している。

一方の星野リゾートは、これまでの規定戦略どおり、手厚いサービスを付加価値として提供する、「OMO(オモ)」というブランドを展開するとのこと。

記事には、地方の高級ホテル・旅館が得意な星野リゾートが、都心に新しく展開していく上で、「ビジネス客は捨て、観光客に特化したサービスを展開する」という思い切った戦略のホテルだ。

都内大塚に出すホテルでは、価格は1人7000円から。125室を50人で運営と、HISとは対照的な人数。

秘密基地的なインテリアになっていたり、宿泊客同士が交流できるラウンジを設けたりと、こちらも、エンタテーメント的な要素が盛りだくさんだ。

中でも「Go-KINJO(ゴーキンジョ)」というサービスが、かなりのインパクトでオリジナルだ。

正社員が近所のスナックや、そのあたりにしかない、名物飲食店や催し物を案内。一流ホテルのコンシェルジュの、B級バージョンといった具合だ。

このように、HIS、星野リゾート、どちらの業態にしても、単純に、価格や部屋のサイズの調整、サービスの付加や削除ではなく、宿泊客のステイの先にある、エンタメ要素を追加するという、情緒的な価値に訴える戦略をとっている点が目新しい。

こういった施策の背景には、東京、関西圏で宿泊客が増える中、同時に供給室数も増える。中でも、民泊をはじめとする安価な部屋の提供で、値崩れすることなども考えられる。

価格競争に持っていかない工夫という点で、参考になる事例だと言える。

ニトリのコーディネート戦略

ニトリ、といえば思い出すのが、「お、値段以上 ニトリ」のキャッチフレーズだ。

読んで字のごとく、

品質の良い品物を、低価格で提供する、

コストリーダーシップの戦略をとることで、成長をしてきた企業だ。

しかしここのところ、TVCMでもやっているように、複数の商品の色や形状を統一させることで、部屋のインテリアをコーディネートできる、「アンドスタイル」というラインアップに力を入れている。

日本経済新聞の記事によれば、全体の2割だったコーディネート商品の構成比を、2019年までに4割にするということだ。

各商品ラインは、素材感やデザイン性を重視。これからも和モダンやフェミニン、ナチュラルモダンなど、展開を増やしていくということになるそうだ。

ホテル業界同様、家具の販売においても、IKEAの登場、進出以来、地殻変動が起きていると言える。

郊外型の大規模店舗は、さながらエンタテイメントパークのように、1日いても楽しむことができるし、商品数も膨大。さらに、品質もそこそこで、買いやすい価格で提供されている。商品の機能的な価値だけで勝負していると、価格の安さに行き着き、利益率の低下を招く悪循環になりがちな業界と言える。

今回のこのニトリのコーディネート商品ラインアップの充実は、これまでのコストリーダーシップの戦略を保ちながら、想定顧客層の情緒的な価値に訴え、「気持ちいい商品を集めたから、小物から全て、ニトリで揃えてはどうでしょうか」と、顧客囲い込みにつながる戦略をとったと言える。

イオンモールなどに展開する、大型家具ではない、雑貨中心に販売をする業態の、ニトリデコモールなどを合わせて、買いやすい商品を入り口にし、ニトリファンになってもらう、という戦略をとるということになるのだろう。

HIS、星野リゾート、ニトリから何を学ぶべきか?



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