消えた駅弁11「真田御膳/上田駅、小諸駅」

2015年の大河ドラマは「真田丸」だった。その頃、上田に行くと町のあちらこちらに真田家の旗印六文銭の幟が立ち、土産物店には六文銭入りのぐい呑みやらTシャツやらタオルやらが並んでいる。なるほどこれだけ賑わえば全国各地がこぞって大河ドラマを誘致するはずだ、とシゲシゲと眺めたのを思い出す。

 もちろん、駅弁も真田がらみがいくつか登場した。そのひとつ、「真田御膳」は小諸市のひしや弁当店が調製した。

 駅弁の蓋の表面に描かれているイラストは、明治中期ごろの上田城。蓋を開けると、細かく仕切りされた赤いプラスチックの容器が目に飛び込んでくる。

 容器のセンターを占めるのは、六文銭をイメージしたご飯。白めしが3つとキノコの炊き込みご飯が3つ。真ん中に四角く刻んだ海苔をのせてあり、俯瞰するとまんま六文銭である。

 おかずは天ぷら、野菜やキノコの煮物、牛肉煮、鶏肉の照り焼き、フナの甘露煮、金時芋、しば漬けなど種類豊富で、地場の食材を会席風に仕上げた職人技が光る。シメジ、ジャガイモ、アンズなどを使った天ぷらには抹茶塩が添えられており、素材の味を生かす工夫が見られる。特にアンズの天ぷらは珍味で、甘酸っぱさと塩味が融合した味覚を味わえた。山の幸満載で、なにより2種類のごはんがおいしかった。また食べたい!と思っているうちに終売とは。。

 調製元は「ひしや弁当店」。今でも仕出しなどを行っているが、駅弁の調製からはすっかり撤退したそう。あ~~残念。機会があったらぜひもう一度お願いします、ひしやさん!

1080円(当時)/ひしや弁当店