消えた駅弁4「津軽鉄道 りんごりんご弁当/津軽五所川原駅」

 リンゴのほっぺの少女はすっかりいなくなったけれど、世の中のリンゴはますます赤くなり、皮はもちろん果肉まで真っ赤なリンゴが登場した。世界で唯一、青森県五所川原市だけで作られる「赤〜いりんご」がそれ。五所川原は青森県内でも屈指のリンゴの産地。岩木山を背景にリンゴ畑が広がる美しい町は、何度訪れても感動する。

 リンゴの加工品といえばジャムやジュースが一般的だが、2016年秋、五所川原市に本社を置く津軽鉄道から、なんとリンゴづくしの駅弁が登場した。内容はもちろん、掛け紙に描かれたどこか懐かしいリンゴのイラストや、縦長の容器など、あまりほかでは見られない駅弁に全国から注目が集まった。

 おかずは焼きリンゴと豚ロース肉のミルフィーユカツ、エビしんじょうのリンゴ皮巻き (タマネギの代わりに角切りりんごを使用)、リンゴのキンピラ(りんごの細きりを使用)、リンゴと鶏ひき肉のミートボール、姫リンゴの甘露煮、などなど。ご飯もリンゴ酢入りと凝っている。

 献立を考え、料理指導したのは東京代々木の和食店「高瀬」の主人・高瀬亘さん。酸味と甘みを持つリンゴは、調味料としても十分に使えるそう。

「つがる」「紅玉」「ふじ」などその時に収穫される旬のリンゴを使用して駅弁を作った。おかずの上にふわりとのっているスライスリンゴは、この駅弁に欠かせない五所川原の「赤~いりんご」。ボリュームも十分で、なにしろ見た目がきれい。料亭弁当のレベルだった。

 ああ、それなのに、それなのに。様々な不可抗力により、終売となってしまった。残念無念! こんなにスゴイ駅弁は今後出てくることがあるだろうか。

 復刻を願う!!いや、狙う!いつか再び。

 ちなみにこの駅弁、手前味噌ながら、監修は小林しのぶである。

1000円(当時)/津軽鉄道