[歴史発想源] <永遠の帝都・ローマ建国篇> 第八回:そして帝国の誕生へ「アウグストゥス」

文弱青年だったオクタビアヌスが、無双の猛将アントニウス・絶世の美女クレイパトラのエジプト連合軍を歴史的一戦「アクティウムの海戦」にて撃破し、ついにローマの頂点に上り詰め、地中海の覇権を一手に握る!

激動のローマ共和政末期は一人の若者によってまとめられ、そして帝政の始まり、すなわちその後ヨーロッパ史に大きくその存在を打ち付ける「ローマ帝国」が出現することになりました。なぜ、長き歴史を紡ぐほどの帝国を確立することができたのか。そこには永続する企業のあり方のヒントが見えてきます。

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ローマの帝政開始までを描く「ローマ建国篇」はいよいよ最終回。第八回のスタートです!

▼歴史発想源「永遠の帝都・ローマ建国篇」〜アウグストゥスの章〜

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【第八回】そして帝国の誕生へ、アウグストゥス

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■誰からも認められるトップの座に就くには

紀元前31年9月に、名将アントニウスと女王クレオパトラの連合軍を「アクティウムの海戦」で撃ち破った、文弱の青年オクタビアヌス。

全ての政敵に打ち勝って、エジプトなど広大な私領を手にしたオクタビアヌスは、まだ32歳という若さにして、共和政ローマの中では並ぶ者がいない頂点に立ちました。

まさに大叔父である英雄カエサルに匹敵する偉業を、しっかりと成し遂げたのです。

しかし、ここからがオクタビアヌスの正念場です。

なにせ、そのカエサルは頂点に立った直後に暗殺されてしまったのですから。

オクタビアヌスは大叔父カエサルの暗殺の悲劇から何を学び、そして何を生み出していったのでしょうか。



ローマ最大の実力者となったオクタビアヌスは、ローマに凱旋すると、「プリンケプス」の座に就きます。

プリンケプスとは何かというと、ローマの政治を長老的に司っていた「元老院」の議員の中で最も権威のある人物のことです。

日本語では「第一人者」などと訳されますが、OB会の筆頭理事、OB会の総代表のようなものです。

当然、他の「元老院」の議員である長老たちはこれに対して危機感を抱きます。

かつて、英雄カエサルの独裁を危険視して暗殺したというのに、これではそのカエサルに代わってオクタビアヌスが独裁の権威を持つだけじゃないか…。そんな不安が、「元老院」の議員たちの中に渦巻いていたんですね。

ところが、オクタビアヌスは、プリンケプスという最高の権力の座にいながらも、「元老院」に対して意外な提案をします。それは……

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