日本の少子高齢化と世界の比較~武田邦彦集中講座 少子高齢化の危機(1)

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◆現在30歳の人はほぼ間違いなく「年金がない」!

日本の少子高齢化は、世界でも驚くべきスピードで進んでいます。少子高齢化というのは、近い将来「働かない年寄りばかり」になることを意味していますから、「年金がなくなる」のは当然で、その他にも社会の様相は大きく変化します。

年金がなくなるということが分かっていれば、それなりに準備もできるのですが、変化をよく考えておかずに年金をあてにしたら生活ができなくなった場合は、老後は悲惨なものになります。体力のない老後が悲惨になると、本当にどうしようもない人生になってしまいます。

今30歳の人は、ほとんど間違いなく年金はないでしょう。でもそれに備えた生活を始めているでしょうか?おそらく、テレビなどでまだあまり言わないので、遠い未来のように感じているでしょうが、実はもうすぐなのです。

そこで、このシリーズでは、急速に進む少子高齢化が、「いつ、どの程度」進み、その結果、「何が起こるのか」を明らかにしていきたいと思います。

第一回は基礎から始めます。

一人の女性が生む子供の数、戦争の前はおおよそ4人でした。それが戦後は急激に減って3人程度になり、さらに石油ショックまでの第一次高度成長が終わると2人に近づいていきます。そしてついに平成元年には2を切って「一人の女性が2人の子供を産まない」という時代が来たのです。

夫婦二人で子供を産み育てるのですから、一人の女性が二人以上の子供を産まなければ人口は減っていきます。最近はさらにさらに減っています。また、あまり注目されませんが、出生率は北国が低く1.4ぐらいの時に、南の県は大体1.5ぐらいとはっきりと違います。そして全国平均が1.43の時、人口の多い東京が1.13と最低で、人口が少ない沖縄は1.94ですから、かなり都道府県によっても差があることがわかります。都市化が進むとさらに出生率は低下するでしょう。

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