「“傷害保険”は会社の節税になるのか?」「100歳時代に備える“トンチン年金”とは?」『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』

Shutterstock/Photographee.eu



こんにちは

大村大次郎です。

前回、改行をしたほうがいいかしないほうがいいか、みなさんにお尋ねしたところ、改行してほしいというメールをいただきましたので、今回は40字程度で改行しております。そして、さらに一文ずつで改行しています。どうすれば、一番読みやすくなるのか、いろいろ研究しておりますので、今後もみなさんのご意見をいただければ、ありがたいです。

では、本題に入りますね。

今日は「“傷害保険”は会社の節税になるのか?」「100歳時代に備える“トンチン年金”とは?」の2本立てです。

●“傷害保険”は会社の節税になるのか?

最近、節税商品について、興味深い記事がありました。まずは、それをご覧ください。

~新聞記事ここから~

「節税保険」実態解明へ 金融庁、商品設計を問題視

生命保険各社が「節税」をアピールして中小企業経営者に売り込む保険について、金融庁が商品の設計などを問題視し、実態調査に乗り出した。保険料支払いで課税所得を減らし、将来解約すれば保険料の多くが戻って節税効果を上げる商品。

最近は保険会社の営業が過熱しており、金融庁は保険の趣旨を逸脱するおそれがないかも調べる。

問題になっているのは、「法人向け定期保険」。主に中小企業が契約し、経営者や役員の死亡の際に保険金が支払われる。いくつかの条件を満たせば、保険料は全額経費扱いになる。

企業は保険料支払いで利益を圧縮し、法人税支払いを減らせる。加入後10年程度で解約すれば、支払った保険料の多くが「解約返戻金」として戻る。利益を上げて税金を払うより、保険に入って返戻金を受け取った方が手元にお金が残る。返戻金は課税されないように、役員退職金などの経費に充てる。

日本生命保険が昨年4月に発売した「プラチナフェニックス」の場合、60歳で契約し、保険料を10年間支払った後解約すると、当時の基準で支払った保険料の約85%が手元に残る。

これに対し、通常通りに法人税を払うと、利益のうち手元に残るのは約66%だ。保険に入った方が、手元に残るお金は3割近くも多くなる。生保各社は同様の商品を相次いで投入しており、第一生命保険が今年3月発売した商品では、手元に残るお金が、法人税を払った場合より4割超も多いケースがあった。

ただ節税のために中途解約を推奨する商品は、死亡時の保障という本来の趣旨からは逸脱しかねない。営業現場では「節税PR」も横行。返戻金を引き上げるために不自然な設定をしている商品まで登場したことで、金融庁は脱法的な行為になりかねないと判断している模様だ。同庁は今月、生保各社に対し、法人向け定期保険の実態を問うアンケートを送った。今後個別に聞き取りをすすめ、年度内に必要な行政措置を判断する。生保業界では以前も同様の保険販売が過熱。2008年には国税庁が通達で、保険料の一部を経費に算入できなくするなど厳格化してきた。

最近は商品内容を変え、通達の「抜け穴」を突いているとみられる。(柴田秀並)

2018年6月29日 朝日新聞配信

~新聞記事ここまで~

著者による解説

「節税商品」と言われても、普通の人には何のことかわかりませんよね?あまり世間に知られていませんが、実はこの世の中には、「節税商品」なるものが存在するのです。

どういうことかというと、典型的なのが、「保険」です。ある保険に入ると、それが会社の経費に計上できることになっているわけです。だから、儲けすぎてこのままでは多額の税金がかかってしまう、というような会社がこの保険に入るわけです。

が、この保険は、実は保険とは名ばかりで、事実上の預金のようになっているのです。一定期間が経つと、掛け金のかなりの部分が戻ってくるのです。つまりは、「会社の経費を増やし税金を減らしながら預金をする」というわけです。

たとえば、有名な節税商品で「がん保険」がありました。この「がん保険」は、普通の「がん保険」とはちょっと違うのです。表向きは普通のがん保険です。だから会社は、このがん保険に入ると、掛け金を全額、会社の経費に計上することができます。役員などを被保険者にして、受取人を会社にしておけば、会社の経費計上が認められていたのです。

が、この「がん保険」は、一定期間が経つと、解約返戻金が非常に高くなるように設定されているのです。

掛け金のほとんどが解約返戻金で戻ってくる仕組みになっていたのです。解約返戻金というのは、普通は、それほど高いないはずなのですが、この商品は、「解約返戻金が高い」ということが、最大のウリだったのです。会社は、儲かったときに、この生命保険に加入し、掛け金を払います。もちろん、それにより会社の税金は安くなります。そして、あまり儲かっていない年に、解約して、解約返戻金を受け取るのです。そうやって、うまく税金を逃れるというわけです。

これは、税法の抜け穴をついたものでした。これまでの法律では、「満期返戻金がある保険」の場合は、つまり積立金があるような保険は、その積み立て部分については、会社の経費にすることができず、会社の資産として計上しなくてはなりませんでした。が、「解約返戻金」については、その対象とはなっていなかったのです。そのため、保険会社は、解約返戻金という形式を取りながら、事実上の「積立保険」を開発したというわけです。

が、税務当局はこれをみすみす見逃しているわけではありません。この「がん保険」が出回ってからしばらくして、国税庁は通達を出し、解約返戻金が異常に高いがん保険などの掛け金は、経費に計上できないようにしたのです。つまり、この節税型「がん保険」は、無力化されたわけです。

しかし、税務当局が新しい法の網をつくれば、保険会社は、またこの法の網をくぐりぬける商品を開発するのです。

それが、この新聞記事に載っている保険商品なのです。この新聞記事ではあまり詳しく触れられていませんが、ここに登場している保険は、節税型の「傷害保険」だったのです。節税型「がん保険」が、法の網で縛られてしまったので、今度は「傷害保険」を使って、節税商品を開発したというわけです。

傷害保険は、被保険者がけがをしたときなどに支払われる保険です。会社が、役員などを被保険者にして受取人を会社にして、この保険に加入した場合、掛け金は全額、経費に計上できることになっています。その仕組み利用し、この保険でも、解約返戻金を異常に高く設定し、「事実上の積立保険」にしていたのです。

しかし、この保険も、今年(2018年)の3月に国税庁が見解を示し、「事実上の積み立て部分については、会社の経費には計上できない」としたのです。だから、この新聞記事に載っている保険商品は、すでに節税策としては無効に近い状態になっています。

いやあ、絵にかいたような「いたちごっこ」ですね。税金の世界ではこういうことは時々あります。法の抜け穴を誰かが見つけだしそれを利用する人が増えると、税務当局が法の網をかける、しかし、またその法の網の抜け穴を誰かが見つける、という…税を逃れるための執念、それをビジネスに結び付けようとする商魂、いやはや…

●100歳時代に備える“トンチン年金”とは?

この続きを見るには

(2,966文字)

¥360(税込)

購入して続きを読む