
こんにちは!
売れる仕組み創造ラボ、所長の理央です。
今号の特集は、「なぜ、ドアダッシュはこの時期、宅配サービス事業に乗り出すのか?~商機と目論見は?」です。
市場機会の見つけ方、脅威・リスクへの対応について、ドアダッシュの事例から学んでいきましょう。
それでは最後までじっくりと読んでください。
■目次
… 1.第1特集:マーケティング・ラボ「なぜ、ドアダッシュはこの時期、宅配サービス事業に乗り出すのか?~商機と目論見は?」
… 2.ビジネスコラム:「Z世代の行動の特徴~ミレニアル世代と何が違うのか?」
… 3.著作・イベントのお知らせ
… 4.編集後記
第1特集
【なぜ、ドアダッシュはこの時期、宅配サービス事業に乗り出すのか?~商機と目論見は?】
米国料理宅配の最大手、ドアダッシュが、先日日本市場に参入しました。
まずは、仙台市でビジネスを開始して、展開エリアを広げていくとのことです。
ドアダッシュはなぜ、この時期に日本市場に参入したのか?
アメリカ以外では3カ国目で、アジアでは初めてとのことです。
仙台でのサービス内容は、営業時間は10時から24時。
加盟店は、「牛角」「かっぱ寿司」「吉野家」、「ケンタッキーフライドチキン」など全国チェーン店に加えて、地元の有名店などがラインナップに入っているとのことです。
ドアダッシュは、アメリカでの料理宅配市場において、シェアが56%で、ウーバーイーツの21%を、大きく引き離しています
確かに、このコロナ禍の中で外食に行くことを控える人も多く、料理の宅配や、オフィスへのケータリングは、以前よりも増えています。
日本経済新聞 4月15日の記事によると、「ICT総研の推計では、ネット注文による、フードデリバリーサービス市場は2018年に3,631億円、2019年には4,172億円へと市場規模が拡大。
さらに新型コロナウィルスの感染拡大で、外食自粛が目立ち始めた2020年は、4,960億円へと市場規模を大きく伸ばしている。
2021年もコロナ禍での利用拡大が続くため、5,678億円に成長、2022年に6,303億円、2023年に6,821億円に拡大すると予測した」
(以上、日本経済新聞 4月15日より抜粋)
この推計にもある通り、フードデリバリーサービスは、今後まだ日本でも伸びる傾向にある市場です。
また、これまで食事の宅配というと、「出前」というイメージで、家にあるメニューやチラシで何にするかを決め、お店に電話して、てんやものを注文して持ってきてもらう、というやり方でした。
もちろん、代金も事前に用意しておかなければなりません。
しかし今は、何を食べたいかを探して、値段を確認して、あと何分すれば届くのか、という探すところから宅配までを、スマホ1つでできるようになりました。
しかも、クレジットカードを登録しておけば、代金を用意しておく必要もありません。
また、以前はスマホで探して届けてもらうには、何をどうすればいいのか、と迷う人たちも多かったと思いますが、ここ1年で多くのことがデジタル化されて、消費者の方も慣れてきているため、心のバリアも低くなっていると思われます。
その意味でも、市場の広がりフードサービスデリバリーへの、消費者の心のバリアが下がったことも、1つの要因になると言えます。
「日本でも地域経済の発展に尽力したい」と、日経新聞に社長のコメントが載っていましたが、今後の市場規模の拡大も併せて、ドアダッシュは日本市場への参入を決めたのでしょう。
ドアダッシュの市場参入にネガティブな要素はあるか?
一方で、日本ではすでにウーバーイーツが参入しています。
ウーバーは年内に全国に展開すると発表していますし、日本企業の出前館も、6月から全国に展開すると発表しています。
さらに、メニューや楽天デリバリーもあるため、ドアダッシュは、料理宅配業会の中では、後発組としての参入になります。
伸びている市場にサービスを展開するのは鉄則ですが、その分、美味しい市場で売りたいという企業は多くなり、競争が激しくなって顧客の奪い合いになります。
宅配ビジネスにおいて、参入企業が増えると、配達員の数の確保が難しくなり、配達の質を維持する努力も必要になります。
特に地方都市では、人の数と質の確保に、苦戦すると考えられます。
また、ユーザーとしては多くの選択肢の中から選びたい、と感じるでしょうから、どのお店の、どんな食事を頼むことができるか、という品揃えも重要な要素になります。
できる限り多くの店にも出店して欲しいし、自社だけに登録をしてくれている名店があると、ユーザーから選ばれる理由になります。
このように、市場への参入に関しては、チャンスと同時に、潜在的で不確実な要素があることも、考慮に入れなければなりません。