米中首脳会談での合意・フランスの大規模デモ・FFRI株とヨネックス株等

■米中首脳会談での合意・フランスの大規模デモ・FFRI株とヨネックス株等

 大好評発売中の『2019長谷川慶太郎の大局を読む』(発行:李白社、発売:徳間書店)では、貿易戦争から覇権戦争へと様相を変えた米中の争いを中心に、人手不足とキャッシュレス化が襲う日本、右肩下がり経済のヨーロッパ、明暗が分かれたBRICSなどについて詳述しました。ネット書店や全国の大手書店で入手できますので、ぜひご一読ください。

●中国からの輸入品への追加関税を90日間先送りしたアメリカ

 アメリカはすでに2500億ドル分の中国からの輸入品に制裁関税を課していますが、このうち2000億ドル分については2019年1月以降に関税率を10%から25%に引き上げる予定でした。しかしトランプ大統領と習近平総書記は12月1日にアルゼンチンのブエノスアイレスで約1年ぶりの米中首脳会談を行い、アメリカが2000億ドル分に対する関税を2019年1月以降も10%で据え置く代わりに、中国がアメリカの大豆などの農産物、エネルギー、工業製品などの輸入を直ちに増やすことで合意しました。

 ただし併せて、アメリカ企業への技術移転強要の停止、知的財産権の保護、非関税障壁の是正、サイバー攻撃の停止、サービスと農業分野の市場開放というアメリカの求める5テーマを中国が90日以内に受け入れることができない場合にはやはり2000億ドル分に対する関税を25%に引き上げることになりました。

 要するにアメリカは関税引き上げを90日間延期したわけですが、これは中国経済を破壊するアメリカのハンマー使用を正当性化するものです。つまり、90日経っても5テーマを受け入れない相手に対しては25%への関税引き上げという方法以外に手段はないという言い分がアメリカにできます。その点で今回の合意はアメリカにとってかなり有利なものとなりました。

 逆にいうと、中国は90日の猶予を利用して5テーマを受け入れられるような構造改革に踏み切らなければならないのですが、わずか90日で5テーマすべてを受け入れる目途をつけるのは不可能です。アメリカ企業への技術移転強要の停止、知的財産権の保護、サイバー攻撃の停止については受け入れ可能だといえるものの、非関税障壁の是正、サービスと農業分野の市場開放については中国国内に根強い抵抗があります。なかでもとりわけ困難なのが農業分野の市場開放です。

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