[ビジネス発想源 Select] 第2972回:現場の発想

日刊メールマガジン『ビジネス発想源』の4400回を超える膨大なバックナンバーの中から、読者の方々に人気の高かった回を再編集し、無料公開します。期間限定での公開ですので、気になる記事は保存して後ほど読み返してみて下さい。



【第2972回】 現場の発想 (2012年12月25日配信)

------------------------------------------------------------------

ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の店舗の多くには、白いスーツを来たおじさんの像が立ってますよね。

そう、KFCの創業者、カーネル・サンダース氏の像です。



これ、すごく目立ちますよね。

この像の人物が創業者だとは知らない世代の人でも、「この像が立っているお店は、KFCだ」ということは、広く知られています。

すごいインパクトです。

KFCの発祥地はアメリカ合衆国ですから、「創業者の像をドンとお店に置いてインパクトを与えるなんて、さすが欧米の人たちは、考えることが大胆だね」と思う人も多いかもしれません。

でも、KFCの店舗にサンダース像を置くという発想は、実は日本発祥だったりします。

もともとは、カナダのKFCの店舗が、あるイベントのために作って使用したもので、それはイベント後は倉庫に保管されて忘れられていました。

そして、視察でやってきたKFC日本法人の幹部が、そのサンダース像を倉庫で見つけて、日本に持って帰ったんですね。

 

というのも、日本にKFCができたのは1970年代ですが、この頃はまだKFCというお店はもちろん、フライドチキン自体も一般的ではありませんでした。

だから、赤と白の縞模様で店を飾っていたKFCのお店には、電気屋や理髪店などと間違えて入店する人も多かったのです。

そこで、その像を持ち帰った日本法人の幹部が、フライドチキンを手にしたサンダース像を店頭に置くことで、「こうやって手で持って食べるフライドチキンを売っているお店なんですよ」という認知をしてもらうことにしたわけです。

そして、日本全国の店舗にその手法が広まっていき、今では多くの人がサンダース像を知ることになりました。

さらには、KFCの環太平洋地区の本部が日本に置かれたことで、アジア諸国のKFCにもサンダース像が立つことになり、また、今では本家のアメリカの店舗にもサンダース像が立っているお店がいくつかあります。

※ちなみにこの話は、日本KFCのウェブサイトにも載っています。



現場の発想は、大切です。

地方の支店や営業所、外資系の日本法人などで働いている人には、つい「本社からの指示待ち」「本部からの戦略待ち」に甘んじてしまう人が多くいます。

でも、「本社からの指示待ち」をするだけならば、その人ではなくても、誰だってできます。

与えられたものをこなす仕事は、その人でなければできない仕事ではありません。



本店、本社、本部からは特に指示は出ていないけれども、

「自分たちだったら、どう売るか」

「自分たちだったら、どうお客様に喜んでもらうか」

と考えることにこそ、自分がそこで働いている意味が出てくるというものです。



自分たちは、本社や本部よりも、その地域の特性が十分に分かっているし、何よりもお客様に近い立場です。

自分たちで考え、調べ、実行する。

そういう、現場の発想を形にすることが、やがてその店が局地的に注目を集めたり、またその発想が日本全国、世界規模になったりするのです。

現場の発想を形にすることを、大事にしましょう。



「でも、裁量権がないので本部の指示通りにしかできないんです」

「でも、本社の承認がなければどうにも動けないんですよ」

と反論する人もものすごーくたくさんいますが、その裁量権をどうやったら自分たちにもらえるか、ということを考えて実現するのが「仕事」です。



「与えられたことしか、やってはいけないんですよ」

というのは、単なる「作業」。

「仕事」をやるなら、自分たちで実行する。

自分たちで実行できないなら、どうやれば自分たちで実行できるかを考えて勝ち取る。



そうやって「現場の発想」が活かせる仕事が、たとえ地方の支店でも、小さな営業所でも、世の中に大きな価値を生んでいくのです。



【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-----------------

・現在の自社の「現場の裁量権」はどれぐらいあるのか。自分の言葉で言い表して、ノートにまとめる。

・現在よりも「現場の裁量権」を5割増やすとしたら、どんなことをしなければならないか。ノートにまとめる。



▼本日の内容はいかがでしたか? 『ビジネス発想源』は10万人以上の経営者・マーケティング担当者が愛読する、日刊メールマガジンです。2003年に連載を開始し連載回数は4400回以上。「まぐまぐ大賞2016」でビジネスキャリア部門第2位、「まぐまぐ大賞2014」では総合大賞を受賞しています。毎日メールボックスに届く経営やマーケティングの発想源の数々、無料で購読できますのでぜひご登録下さい。『ビジネス発想源』の無料登録はこちらから。

▼「ビジネス発想源 Select」の記事を、無料公開期間を過ぎて読み損ねることのないよう、『ビジネス発想源 GOLD』の著者フォロー(+Follow)をしておくことをお薦めします!