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【第4084回】集中力のない相手 (2016年1月11日配信)
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子供を見てみると、「落ち着きのない子」「集中力のない子」というのが多くいます。
私は、若い頃に塾講師の仕事をしていたのですが、いろんな子どもを見てきた経験でいうと、実は「落ち着きのない子」「集中力のない子」というのは、実は全くいないとも言えるし、全員がそうではないかと言えると思っています。
つまり、落ち着きがない、集中力がないというのは、その環境ではそうなのであって、落ち着きが出る、集中力が出る環境は誰にでも他に必ず持っている、と思っているのです。
例えば、小学校の先生が生徒の通知表に「落ち着きがなく、集中力が足りない」という評価を書いたとします。
でもそれは、その子の本性ではなくて、その小学校の先生が見ている範囲の世界には、その子が集中できるものがないだけなのです。
そんな子は、家でのゲームの集中力は半端なかったり、やがてイタリア語の授業に無性にくいついたり、実はどんな環境でも10秒で眠りについたりと、何かしら凄まじく集中する世界を持っているのです。
授業ではすごく集中力がある子どもでも、その子がつまらないと思っている環境に放り込めば、集中力なんて途端になくなります。
だから、落ち着きがない、集中力がないといったその人の状況を見た時は、「この人は、ダメな人なんだ」と人間を見るのではなく、「この人は、今のこの状況に合っていない」という関連性を見ることが大事です。
もっと集中力を持ってほしいなら、「もっと集中しなさい」と言うのではなく、「もっと集中できる環境を持ってくる」ほうが早いのです。
塾講師時代は、クラス全員に対して授業をしますから、当然集中力がない子も何人もいました。
でも、「なぜ集中してくれないんだ」と怒ったところで、集中力が上がるわけではありません。
だから、その生徒たちが何になら集中するのか、ということをよく見ていました。
例えば、もう漫画が好きで好きでたまらない、という集中力のない生徒がいたら、彼女の好きな漫画を自分も読んでみて内容を知り、たとえとしてその内容に触れてみる。
すると、「先生もあのマンガ読んでるんだ!」と妙に明るく接してくれるようになり、
それからは私の授業に集中してくれるようになりました。
いつもノートに落書きばかりちまちま描いていた生徒に、「ここが重要!」というポイントを表すマークをクラス全員が使えるようにデザインしろ、と言ったところ、10通りの重要度レベルごとのマークを作ってきました。
そして、実際にノートをよくとって自分で使うようになり、授業の内容をその10個の重要度レベルに振り分ける、ということをやり始めて、一気に成績が伸びました。
何に火をつけたらいいのかを考えてみると、その相手の集中力は一気に増えるのです。
これは、教育でも子育てでも人材育成でも同じこと。
落ち着きのない人、集中力のない人には、「集中力を持ってほしい」と思うのではなく、最初から集中力は備わっている、と考える。
そして、その人の集中力を引き出せるポイントを見つけ出してあげるべきなのです。
【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)-------------
・社内や家族の「集中力をもっと持ってもらいたい人」の名前を、ノートに列挙する。
・その人たちは、どんなことが好きでどんなことに没頭するのか。彼らの特徴を併記する。
・彼らがもっと仕事ややるべきことに集中できるようにするためには、どんな工夫が必要か考える。
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