朝鮮の平和~武田邦彦集中講座 複雑な問題を簡単に切る(3)

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◆もう手遅れか?北朝鮮、韓国へのバッシングを喜ぶ日本人たち

日本のマスコミはずっと北朝鮮については「そのままの報道」をしてこなかった。北朝鮮はガタガタだ、すぐにでも崩壊する、金一家だけが繁栄している…など日本の報道を信じていた人は、これまでも「すぐ崩壊しそうなのになかなか北朝鮮はダメにならないな」と不思議に思っていただろう。

現実には崩壊するどころか、核爆弾は作る、ミサイルは飛ばすとどんどん軍事力をつけて、アメリカでも無視できないぐらいの軍事大国になった。また若くして労働党委員長(トップ)の座に座った金正恩氏は「無茶苦茶で、どんどん側近を殺し、憎たらしい人物だ」という映像をメディアが流すので、いつの間にか、悪い人だと思い込んで、感情をむき出しにする日本人も多い。

確かに、「日本人を日本国土から拉致した」というのは許しがたいことであり、それが日本人の心の底にあるので、北朝鮮がやることなすこと、すべて癪に障る気持ちもわかろうというものだ。

でも、国際関係というのは単に感情的に動いたからと言って、日本のためになるわけではない。先の戦争の時に、朝日新聞が「鬼畜米英」(アメリカやイギリスは鬼だ!)と日本人を煽り、負け戦は嫌だと抵抗する日本の軍部を戦争に駆り立てた時も、感情論だった。多くの人は軍部が戦争をしたがったと錯覚しているが、軍部はアメリカと戦争したら負けると判断していたし、戦争になれば軍人は真っ先に死ぬので、軍部は一部の若手将校を除いて、戦争には消極的だった。

その意味では、戦争で日本が悲惨な目に遭ったのは朝日新聞のせいと言っても過言ではないが、戦後もそれが続いていて、慰安婦事件や南京虐殺などの創作物を報道しては、日本に甚大な被害を与えている。

北朝鮮の拉致問題も積極的な報道をしなかったのは朝日新聞やNHKで、日本国土から日本人が拉致されているのに、最後までなかなか報道しなかった。

日本の主要メディアのこのような曲がりくねった情報に加えて、韓国も嫌日運動をしたりしているので、日本人の朝鮮観は曲がりに曲がっている。だから著者が少しでも真正面から朝鮮のことをテレビで言ったりすると猛烈なバッシングに遭う。なにしろ今の日本人は朝鮮のことを悪く言うと喜ぶという状態になっている。



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