今回は、ハーバード・ロースクールでの、私の初めてのオフィス・アワーでの体験について書いていきたい。
日本の大学にもおそらく同じシステムがあるだろうが、ハーバード・ロースクールでも、それぞれの教授が1週間に数時間「オフィス・アワー」という時間を定めて公表している。この時間は教授はオフィスにいて、訪ねてきた学生の質問に答えるのだ。
教授と1対1で話し合える貴重な機会であると同時に、緊張の機会でもある。価値あるディスカッションは大歓迎の教授も、準備をしていない学生にはとても手厳しい。忙しい彼らには無駄にする時間は1分もないからである。
今回のオフィス・アワーで私は相当な緊張を味わった。教授の機嫌もよくなかった。だけれども、最終的にはとても充実したディスカッションとすることができた。
今回のオフィス・アワーの経験を通して、私は二つのことを学んだ。
a) できないと思っても、とりあえずやってみること
突然、英語がスラスラ話せるようになるなんてことはない。だけれども、本当に考真剣にえて、本当に伝えたいことがあれば、とにかく一生懸命に話してみることだ。人を惹き付けるのは流暢な話しぶりだけでは決してない。これだけは伝えなくてはという熱意こそが、人の聞く耐力を引き出すのである。
b) 求めよ、さらば与えられんということ
オフィス・アワーに行って真剣に考えたことを伝えてもっと学びたいという。そういう学生は「熱意ある学生」とみなされ、教授はそういう学生には尽力を惜しまない。
求めなくてはいけないんだ、そうすれば、すべての扉が開かれるんだ。それが分かった瞬間だった。
写真はジャネット・ハリー(の写真)と香港のクラスメイトのシャロンと私の、ちょっとふざけたバージョン。
1. はじめてのオフィス・アワー
前回書いたけれど、私はFeminism Legal Theoryという授業のブラックフェミニズムの旗手であるパトリシア・ウィリアムズについていくつかの疑問があった。
このブラックフェミニズムについてレポートを出すことを予定していた私は、パトリシア・ウィリアムズについてひとつの仮説を持っていた。でも、自分の仮説がとっても見当違いなのではないかとも思っていた。そこで、オフィス・アワーの機会を利用して、Feminism Legal Theoryの担当教授であるジャネット・ハリーその人に色々と疑問をぶつけてみようと思ったのである。
ネイティブの学生は、突然、教授にメールしてしまったりするらしい。小心者の私は、教授の秘書にメールしてアポイントメントを取った。
アポイントメントを取ることができたのは水曜日の8時。いつもより早起きをした私は、それでも少し遅れそうになって急ぎながら教授のオフィスに向かった。古いビルなので、とにかくエレベータが遅い。イライラしながら4階にたどりつき、教授のオフィスに続くユニットのガラス扉を開けようとした。
むっ…開かない!
押せども引けどもドアは開かないのである。うーん…困った…朝早いので秘書さんはまだオフィスに来ていない。仕方がないので、私はいったん図書館に退避して秘書さんに教授がオフィスにいらっしゃらなかったことをメールした。
「ジャネットは朝の会議から抜けられなかったんですって。とっても残念だって言ってたわ。代わりのオフィス・アワーはこちらはいかが?」と、秘書さんから返事が返ってきた。
その後、いくつかのオフィス・アワーを予約した私は、やはりいくつかのすっぽかしにあった。ハーバード教授はとっても忙しくて会うだけでそれはそれは大変なのである。