原田まりるのやわらか哲学・第2回「我慢におぼえる快楽」

■■人は自己欺瞞によって、自分を見失う■■

 自分で自分を見失ってしまう理由のひとつに「自己欺瞞」があります。

自己欺瞞とは「自分で自分をあざむくこと」です。

自分が本当に思っている目的があってもそれを自分で見ようとせず、ほぼ無意識的に(?)

「自分はいまこう思っているからこのような行動をとっている!」と自分で自分を欺きながら、己を美化する行為ともいえます。

例えば、心の底では「心の綺麗な素晴らしい人」と見られたいがためにボランティア活動に参加していたとしても、自分自身では

「なんていうか本当にさ、人の笑顔がただ見たいんだ……人の笑顔を連鎖させたい」

とかいうわけわからないそれっぽい理由をつけて、自分でつくりだした綺麗事を自分で信じ込もうとする行為が自己欺瞞です。

 こういう自己欺瞞を行動のモチベーションにしている人もいますし、実際に自己欺瞞に溺れている人は「自己暗示をかける能力に長けている」とも言えるので、目標に対してストイックになれる場合もあると思います。

そういう「高みを目指すための自己欺瞞」は他人から見ていると鼻につくこともあると思いますが、それは所詮他人事。気をつけるべきは「独善的な自己欺瞞」だと思うのです。



■■人は《貴族道徳》or《奴隷道徳》の2パターンに分かれる■■



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