私たちを惑わすのは「感動」という名のハニートラップ、という哲学思考 原田まりるのやわらか哲学第4回



■■感動は、最強のハニートラップである■■

最近、主宰している哲学サロン「この哲学がスゴい!」のオフ会で

「現代は非常にロマン主義的ですよね〜」という話になりました。

「現代はロマン主義的ですよね〜」といわれてもよく分からないと思うので、言葉をざっくり現代的にすると「現代は、〝感動とか直感とか、そういったインスピレーションに従うのが良い!〟とされている風潮がありますよね〜」というようなことです。

感動や、直感、感性。これをどの程度信じるかというのは、人によって大きく違ってくるような気がしています。

人によっては

・ 「理性」よりも「感性」を重視しているひと

・ 「理性」のなかで「感性」を楽しみと思っているひと

・ 「感性」を「理性」で押さえつけているひと

・ 「理性」に従うべきだと考えているひと

などなどに分かれます。

自分がどのタイプか?というのは哲学者であり心理学者でもあったユングの考えをベースにした性格類型「MBTI」診断をやってみるとざっくりはわかりますが、MBTIは「理性派(思考)」か「感性派(感情)」かの二者択一となるため、自分のなかの微妙な機微まではわかりません。

「理性」60%「感性」40%のひとも、「理性」90%「感性」10%のひとも同じ「理性派」のくくりになるので、YesかNoかという分かれ方をしてしまうので、実際自分の中にある微妙なパワーバランスまではわからなかったりします。

  私はこの「理性」「感性」問題に以前からものすごく興味があり、よくこのことについて考えています。

そして、その興味から派生して、ある疑問が湧いてきました。

それは、

気が病んだような時に「スピリチュアル本」「占い」「自己啓発本」に触れたことのあるひとは多くても「哲学書」に触れるひとはどうして少ないのか?

ということに関してです。

私が哲学クラスタであり、スピリチュアル的なことに懐疑的だからこのように思うのかもしれませんが、「スピリチュアル」や「自己啓発」に触れても「哲学書」を読むことはない、という人が多いのはなぜでしょうか?

「理解するのがめんどくさそう」的な側面がものすごく影響しているとも思いますし、変人の壮大な屁理屈だとおもっている人が多いのもよくわかります。

正直、ネットで変人と話題になっている「性の悦びおじさん」が哲学科出身だった、というテレビ番組をみたとき、妙に納得してしまったし……。

けれども、そういうバイアスを抜きにして考えたとき、次のようにも考えられるな、とおもいました。

悩んだときに自分が納得できる答えを導き出したいのではなく「心の高揚をもって自分を肯定したい」という思うひとが多いのかな?

という考えです。

そこから派生して「自己啓発」「スピリチュアル」と「哲学」の大きな違いをひとつ挙げるとすれば

「自己啓発」「スピリチュアル」には心が高揚するような答えがあるけれども

「哲学」には答えがない

という点が大きな違いである、とも思いました。

(続く)

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