2月12日に、月に一度の連続講座「飯沢耕太郎と写真集を読む」を開催しました。
「写真集を読む」では毎回、テーマに合わせて写真評論家の飯沢さんが“写真の味わい”についてお話しています。(これまでの講座の様子はこちら)
今回は、植田正治の決定版『植田正治作品集』(河出書房新社)の刊行記念として、飯沢さんと共に監修をつとめた写真史家・金子隆一さんに来ていただきました。
2000年に亡くなってから17年が経ってもなお、多くの人を魅了する植田正治の写真世界。
この度の作品集は、本人が生前に発表した雑誌の初出をたどり、プリントやフィルムが無い写真に関しては、雑誌をスキャニングしています。そのため、展覧会やこれまで刊行されてきた写真集では見ることができなかった作品がたくさん収められているのが特徴です。
モノクロのイメージが強く、カラー写真は80年代から晩年にかけての作品という印象が強い植田正治さんですが、雑誌をたどるなかで70年代からすでにカラー写真に力を入れて取り組んでいたことがわかったそうです。飯沢さんは「シンプルな印象がありながらも、カラーだからこそ表現できる世界があって、単純化することで世界を浮かびあがらせていくような感じがします。」と、初期のカラー写真には新鮮なショックがあったことを話してくれました。
大の甘党だった植田正治さん。トークの合間のおやつタイムでは、植田正治さんの妻、紀枝さんのレシピから「淡雪」というお菓子をご用意し、皆さんでいただきました。
イベントも後半になると、植田さんとの思い出話も。
写真技術や戦前の写真について、多くのことを教わったという金子さんからは「植田先生が話すことの全ては『写真っていいよね』ということにつながっていました。」と植田さんとのエピソードもお話していただきました。
トークのあとには「植田正治が愛した食卓」と題して、ご飯会も行いました。ご飯会のようすは写真集食堂めぐたまのレポートをご覧ください。
金子さん、植田正治事務所の増谷さん、そしてご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
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有料版では飯沢さんと金子さんのトークの全容をたっぷりご紹介。
監修の裏話や植田正治の写真の魅力について、作品集をお持ちの方はもちろんのこと、まだ本を見ていない方にも分かりやすく解説しています。
【目次】
1. 『植田正治作品集』 ―雑誌の初出ということ
2. 評価の根拠 ―時代の移り変わり
3. カラー作品をひも解く
4. <風景の光景>の再評価
「飯沢耕太郎と写真集を読む」はほぼ毎月、写真集食堂めぐたまで開催されています。著者フォローとタグ「飯沢耕太郎と写真集を読む」のフォローをお願いします。
(2017年2月12日開催・写真/文 館野 帆乃花)