[Pro’s View] (6)国際薬膳師 大倉文子さん

各界の第一線で大きく活躍されているプロフェッショナルの方々が持つ視点や意識についてお聞きする「Pro’s View」。

今回は、中国・日本を中心に広く活躍されている国際薬膳師の大倉文子先生にインタビューしました。生活習慣病の増加が問題化して食が見直されている今、日本でも中国発祥の薬膳を学んだり嗜んだりする人は多くなり、本場中国で大学で学び中国でビジネスを続けてきた大倉先生には各方面から相談が舞い込むそうです。食の世界で活躍されている大倉先生に、お仕事のことやスマホの使い方など、様々な話をお聞きしました。(2015年3月にPaddyサイトに掲載されたインタビュー記事です)

■仕事のこと

以前は中国の上海を中心に仕事をしていたのですが、昨年8月から日本に拠点を移しました。上海では一般の方々を対象に講義をすることが多かったのですが、現在は日本の栄養管理士さんや助産師さんなどプロの職業の方を相手に、薬膳や漢方など様々なことを教えています。

使っているスマホはiPhone5cです。カバーは知人からもらった阪神タイガースのもの。一番よく使うアプリはWeChatですね。中国ではLineやFacebookが使えないので、中国の知人や上海から日本に移ってきた友人たちとのやりとりはほとんどWeChatです。またWeChatでは中国のニュースが配信されてくるので、中国の事情を知るのに都合がいいんです。国内のニュースはSmartNewsをよく見ています。

以前に使っていたデジカメをマカオに置き忘れてからは、写真を撮るのはほとんどがiPhone5cの内蔵カメラです。よく撮るのは、作った料理ですね。薬膳の先生はプライベートでどんなものを作っているのかを教えてほしい、と生徒さんたちから要望があって、facebookに料理の写真を載せ始めたのがきっかけです。

上海から日本に戻ってきてから気になることは、街中でwifiが使える場所が極端に少ないことです。上海だとカフェに行けばほとんどの店がwifiもフリーだしコンセントもあるし、タクシーに乗ればUSBがつなげてネット接続も充電もできるし、コンビニでも露天でもSIMカードが売っているのが当たり前なのに、日本ではフリーwifiと言っても事前登録が必要だったりと、不便極まりない。上海から友人が来ると、wi-fiも公衆電話も見つからなくて、連絡が取れるようになるまで3時間以上はかかるからすごく大変だとよく言われます。日本に住み始めて半年以上経ちますが、まだこの不便さには違和感がありますね。

■世の中を見ること

私も中国に渡る前は日本で管理栄養士として勤めていたのでよく分かるのですが、日本の管理栄養士は難関の国家資格試験を突破している人たちなのに、ドクターや薬剤師よりも社会的地位が低いと思っていて自信がない人が多いんですね。だから変なサプリメントを売らされたりして、納得できない仕事を仕方なくやっている人も結構います。ですから、管理栄養士には自分がどんな方向を目指していくべきかを考えてもらうために、薬膳などを教えながらプロとしての心構えを伝えています。

日本では、薬膳が変に扱われているケースをよく見ます。例えば、クコの実を使っているだけで「薬膳料理です」と言っている店があったり、薬膳師の資格を持っている人にウェイトレスをさせているだけで「薬膳の先生が監修してます」などと平気で掲げる店があったり。こういうおかしな状況は、そろそろ何とかしないといけないなと思っています。

今、会員制のレストランのお手伝いもしていて、そこには一流の方々が多く来店されますが、そんな一流の人ほどうるさく言わないことがよく分かります。逆に安いものを食べている人ほど精神もガサガサしていて苦情や文句も多い。「人を良くする」と書いて「食」、というのはまさにその通りで、食が乱れると人が乱れます。こだわりすぎる必要はありませんが、人間はもっと自分の口にするものに何が入っているのかといったことは知っておくべきだと思います。初めて会った人に「痩せるから」と勧められたダイエット薬を飲むなんて、よくよく考えるとありえないほど危険なのに。

■出かけること

仕事の出先で空き時間があればぶらぶらするのは好きです。その時は風景写真もよく撮りますね。ただ、仕事がお休みの日に散歩をするといったことはあまりないです。もともと出不精ですし、中国では本業も中国語に慣れていたから、日本に戻ってきてからは日本語での専門分野の勉強に時間を使うようにしているので。

神社に行くのが好きですね。高校生や大学生の時にずっと巫女のアルバイトをやっていたんです。先日も友人と箱根に行った時に、九頭龍神社などに参拝しました。

そういえば最近、夜の大阪が面白いと初めて知りました。私は大阪出身なんですが、昔、大阪に住んでいた頃は体が弱くて、大阪から離れていた期間もかなり長かったので、大阪で夜に遊んだことがなかったんですね。夜中の3時にしか開かないエスニック系の料理店があったりして面白かったので、一度時間をとって夜の大阪をもっと楽しんでみたいです。

■お気に入りの風景

これは香川県丸亀市の丸亀城のすぐ下で撮った写真です。丸亀にいる親戚が近くの病院に入院していたのでお見舞いに向かっている時、まるで龍のように見える雲があったので、つい撮りました。あ、Paddyって雲の写真はダメですか?(雲と空だけの写真だとNG。これは木や石垣など地上物が写っている風景写真だからOKです)。 あ、これは大丈夫ですか。

昨年に日本に帰ってきてからは一度も中国には戻ってないのですが、今年は仕事で北京や大連などを回ることになっています。現地には日本ではなかなか手に入らない食材なども多いので、楽しみです。

■大倉 文子 (おおくら あやこ)

国際薬膳師、管理栄養士。大阪府出身。管理栄養士として日本国内の給食会社に勤務後、2001年より薬膳の本場中国に移り、上海中医薬大学にて薬膳と漢方を学ぶ。上海を拠点に、薬膳のセミナーの講師、田子坊のハーブ店経営など、数多くの仕事に携わる。2014年8月より日本に拠点を移す。管理栄養士や助産師など多くの職業のプロに薬膳の本質を指導している。

公式ブログ(共同運営):「本場で学んだ薬膳の先生たちの日常ブログ



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