自分にあったスピードで(結城浩「日常のひとこま」)

こんにちは、結城浩です。

結城は毎日、インターネットを通してたくさんの情報に接しています。昔に比べると、調べ物をしたり知識を得たりするのがほんとうに楽になっています。まったくありがたい時代です。

でも、その一方で、

 たくさん情報を集めても、自分が賢くなったわけではない

とも思います。情報を集めただけで賢くなるわけでもないし、良い人間になるわけでも、謙遜になるわけでもありません。

人間は(というか結城は)、ネットでちゃちゃっと情報を集めるハイスピードで変化することはできません。

もう少しゆっくりした「自分にあったスピード」というものがあって、そのスピードで変化しているようです。

 何年か経験を積み重ねているうちに、少しずつ。

 何回か手痛い失敗をしているうちに、ようやく。

 何人かの人との貴重な出会いを通じ、何となく。

ネットのようなスピードが悪いわけではありません。何かのきっかけ、トリガー、刺激としては重要です。自分のモチベーションを保つ上でも有効です。

でも。

やはり人間には……いや、それは主語が大きすぎますね。結城には、もっとゆったりした流れが必要です。ゆったりした流れ、大きなうねりを感じながら、少しずつ進んでいきたいのです。自分に、ちょうどいいスピードで。

ビデオを四倍速で見たからといって四倍感動するわけではありませんし、食事を急いですませたからといってより美味しいわけでもありません。

どんなものにも、適切なスピードがあるのです。

春の萌え出るよろこびとも違い、夏のはげしさとも違う、秋。

そして、秋から冬へ。

じっくり落ち着いて、自分にあったスピードで、ゆったりと考えを深める季節にしていきたいな。

そんなふうに思います。

あなたは、いかがですか。

結城メルマガVol.032より)