◆モリカケ問題で2年間を無駄にした国会。露呈する官僚制度の致命的欠陥
森友学園、加計学園の問題で、すでに日本の国会は2年間をほとんどムダに過ごし、大量の税金と法令の整備が遅れています。この問題は「安倍政権のウソつき体質」と言われていますが、私は「日本の官僚制度の致命的欠陥」と受け取っています。
官僚の致命的欠陥とは、加計学園問題では「文科省の過剰の規制と天下りの関係」、森友学園問題は「国有地などの売買に関する隠ぺい体質」ですが、それに加えて、日本の官僚制度の硬直性、固定制があります。それが安倍政権の対応のまずさでこじれたのですが、野党が追及するのが本来「官僚の不祥事」だったのを「安倍首相の問題」にしようとしたことが混乱の原因でした。
もちろん、安倍政権を追求しても「犯人」が違うのですから解決せず、もし政権が変わっても官僚のウソつき体質は変わらないので、これも無意味です。そして、現在の体制をそのままにして、もし何万といる官僚のミスやごまかしを問題にしていたら、今後も日本の政治は止まったままになるでしょう。
それでは、なぜ官僚がウソをつくのか、あまり議論を広げないで、今回のことで浮き彫りになったところを整理してみます。
まず「天下り」です。文科省の役人にとって大学は大きな天下り先なので、がんじがらめの規制をしてそれをもとに大学や関係機関に天下りします。たとえば「大学の資格調査」があるのですが、これには「審査機関」を作り、適当な教授に依頼して特定の大学の審査を行い、それを公表します。そうすると大学側は死活問題なので、必死に審査に合格するように表と裏で頑張りますので、審査関係に多くの天下りポストができますし、文科省の高官を受け入れておけば、まず審査については心配ないことになります。
加計学園の獣医教育規制についても、50年以上も獣医学部の新設を禁止(法律ではなく、文科省の告示など)したのはまさにその一例です。だから、本当は日本の発展を阻害してわが身の天下りを優先する方をバッシングしなければならなかったのですが、「安倍首相の友達」というからめ手から作戦を練ってきたのです。
たとえ安倍首相と加計学園の理事長が友人でも、それだけで罪があるわけではなく、具体的に「友人だから特別の配慮をした」という事実が必要ですが、2年の追及でも結局、特別の事情はでず、最初から最後まで首相と加計学園の理事長が飲んでいる古い写真が繰り返し印象操作に使われるだけでした。