クジラと人間 武田邦彦集中講座『おお、錯覚!食と健康(6)』

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◆食料であり自然界の生物の一つであるクジラと人間の関係性

2009年に公開された反捕鯨映画「ザ・コーヴ」が第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を取ったときには、ヨーロッパ文化の独善性を強く感じたものでした。

これに対して複数の異なる取材と編集による映画が作られていますが、中でも八木景子さんが取材、監督、配給をした「ビハインド・ザ・コーヴ」は正当なドキュメンタリー映画として注目されています。

映画というのはもともと「ある主張」に基づいて作られるので「創作物」の一種ですが、ドキュメンタリーというと最低でも史実には忠実と思われます。しかし、「ザ・コーヴ」は「ウソをついても主張を通したい」という強い意志のもとで作られ、監督も「人類はすべて菜食主義者であるべきだ」と言っています。

これに対して八木さんの「ビハインド・ザ・コーヴ」は、「事実について正確に映像化し、それを見た人が自ら判断する情報を提供する」という考えでできていますので、日本人の感覚からしたら八木さんの作品の方が価値が高いと感じます。

ところで、食糧として、自然界の生物の一つとして、人間はクジラとどのような接し方をするべきでしょうか?八木さんと同じく、「情報を提供してまぐまぐの読者の方の判断の参考にする」ということから整理をしてみました。

1)クジラは哺乳動物で海に住んでいるので重力の影響を受けず、地上最大の大きさになった。イルカも同じ類である。

2)昔から、東洋では肉や脂を、欧米では脂を採るために狩猟の対象となっていた。

3)日本が鎖国を解くきっかけとなったペリーの浦賀来航の目的はクジラ漁の寄港地だった。

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