新入社員やワカモノと接するおとなへ

4月を迎え、職場などでは新入社員がやってきました。歓迎会や花見など仕事は元より接する機会が増える時期。「近ごろのワカモノ」とのコミュニケーションをとったり、新たな業務を任せたりする際、気をつけることを考えました。



1.「今年の新入社員は○○型」?!

その都度、年としでいろいろなアダ名が命名されてきました。私が新入社員だった80年代後半は新人類という言葉が流行りましたが、今やそんなネーミングを覚えている人などほぼいません。いつの時代も若者は得体のしれないモノ。単なる言葉遊びのようなネーミングにはたいした意味はありません。

日本生産性本部が発表する「今年の新入社員は○○型」。平成29年度 新入社員のタイプは「キャラクター捕獲ゲーム型」でした。

「キャラクター (就職先) 」の捕獲 (内定) は容易にできるが、「レアキャラ (優良企業) 」の捕獲は難しく、スマホを片手にネット・SNSを駆使して情報収集するというタイプだそうだ。同時に、必死になりすぎてうっかり「危険地帯 (ブラック企業) 」に入社してしまうリスクがある。仕事にはじめは熱中して取り組むが、「飽きやすい傾向も (早期離職) 」あるため、企業側は、飽きさせないように、「注意が必要 (やりがい、目標の提供) 」とある。

(日本生産性本部、調査研究平成29年度 新入社員のタイプ)

もはや惰性で続いているとしか思えない、ただの皮肉と流行を合わせただけのようなもので、意味が無いという批判も増え、それが原因ではないかも知れませんが、このネーミングは29年度で終わることになったようです。



2.コミュニケーションの基本

「ワカモノに説教してやろう」と考えて接するような人はまず普通はいないでしょう。そんな気はないどころか、少しでも良い関係を職場などで築きたいということで、ひっこみ思案ぽいワカモノに近づこうとしているだけではないでしょうか。近づくとかよこしまなニュアンスがありそうですが、そんなことも思わないですよね。

それなら大丈夫。要はコミュニケーションなんですから、人の揚げ足を取ったり、ばかにしたり、何らかの否定的な先入観に支配されたまま接するような人がコミュニケーションできる訳がないという当たり前のことです。そんな気持ちを持っていればまずバレますし、それこそ職場のように末永くお付き合いする仲間に対する態度としてダメです。

相手が年下だろうが、自分の子供と同じ年齢だろうが、コミュニケーションを取る上では何も関係ありません。その目の前にいる人間と、意思のやり取りをするだけです。職場の先輩であれば、誰もが疑問に思うことや、慣れない内にやりがちなミスなど、あらかじめ自分の失敗談として話すなどすれば、情報としても価値があるし、何よりそうした親切な心がけこそ伝わって欲しいものですよね。

「新入社員○○型」のような皮肉に満ちた表現を、そもそもコミュニケーションにおいて使う必要は全くありません。不慣れであるがゆえに失敗することは、無能とは全く別です。逆に慣れている=長く経験していることしか優位性がないことの方がはるかに無能を意味することになります。そんな接し方だけはしないよう、重々気をつけたいものです。



3.ちょっと工夫でこの美味さ

では日頃何百何千もの大学生と接する私が特別に心がけていることは何かあるでしょうか?一つあります。こちらから声掛けするタイミングに一番気をつけます。最悪なのはやる前から説教口調で注意してしまうこと。そのまま進むのが危ういと感じられるのでしょうが、取り返しのつかない致命的なミスや身体への危険があるようなものでない限り、まずはやってもらいましょう。

もちろん先方から聞いてきた時は当然詳しく説明します。しかし「聞かなくて大丈夫かよ」と思っても、一旦は任せてみるように私は心がけています。私が見る限り、どちらかといえば「教えたい」先輩の方が多いように感じます。「教えたい」気持ちを一旦ガマンして、指示をだすのであれば、目指す完成形やゴールを詳しく説明し、プロセスについては任せます。

アレコレいちいち口出しされ、あげくにうまく行かない結果責任まで負わされたのではたまったものではありません。また初めて取り組むことに対する受入れキャパもあります。「わからなければ何でも聞いて」は正しい態度だと思いますが、実際には「何をどう聞いて良いかもわからない」となることが多いのです。

わからないことや上手く行かないこともある程度明らかになりそうなくらいで「やってる?」と一声かけるタイミングが合えば、結果として彼ら彼女ら自身の力で先に進めることは多く、先輩や上司である自分の出る幕が無いことこそハッピーだと考えるようにしています。何も役立つアドバイスなどしなくとも、適度な距離感を築けること、新たな出会いの人間関係ではずっと役に立つように思います。