中国での資本流出と企業経営への介入・GSユアサ株と東急電鉄株

■中国での資本流出と企業経営への介入・GSユアサ株と東急電鉄株

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●SDRへの参加が裏目に出て資本流出が止まらなくなった中国

SDR(特別引き出し権)は1969年にIMF(国際通貨基金)が加盟国の外貨準備資産を補完する手段として創設した国際準備資産です。その価値は複数の通貨で構成するバスケットによって割り出されます。バスケットの通貨は長年、アメリカ・ドル、ユーロ、イギリス・ポンド、日本・円の4種類でしたが、2016年10月に新しく中国・人民元も加わりました。

SDRを持っている国は貿易の支払いなどに使う外貨が不足したとき、SDRを他のIMF加盟国が保有するドルと交換できます。つまりSDRを持っているといつでもドルの入手が可能ですから、SDRになれば国際通貨として認められて人民元の保有を積み増す国も出てくるはずです。それで中国の国際的な地位も高まると考えて、中国政府はこのSDRに人民元が採用されることを以前から強く希望していました。

ところが現実にはSDRへの参加が、同時に中国からの資本流出にも絶好の機会を与えることになったのです。SDR採用の条件としてIMFが求める資本規制の緩和を受け入れたため、中国政府には人民元と他国の通貨との交換を保証する義務が生じたからでした。以前、中国政府は国民が人民元を他国の通貨と交換しようとしても認めないことがよくあったのですが、人民元とドルならなおさらです。そういう規制が緩和されました。

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