先日、友人たちと「イラストチェイナー」というアプリで遊んだ。
お絵かきでしりとりをするゲームなのだが、みんな下品なので下ネタ連発で、アプリから「不適切な言葉です」と何度も叱られて入力を拒否されてしまった。
ちなみに叱られたのは「ま〇こ」「ち〇こ」「ちんちん」「こじき」である。
「こじき」は下ネタじゃないけど差別用語ね。
今はどうだか知らないが、以前TVに出てた頃は「ち〇こ」はOKだけど「ま〇こ」はNGワードと言われ「なんでチ〇コはいいのにマ〇コはダメなのよ!差別じゃん!」と憤慨したものだ。
また、「ま〇こ」はダメだけど「ヴァギナ」はOKとの事で、「外国語ならいいのかよ!」とこれまた憤慨した私であった。
とにかく性器を指す言葉が禁止になってる理由がわからない。
「子供も見てるから」などと言うけど、子供にだって「ま〇こ」や「ち〇こ」の存在を知る権利はあるだろう。
いずれ知らなきゃ困るしな。
子供の前で性に関する言葉を避けるのは、たぶん「ま〇こって何?」などと訊かれて親が狼狽するからだと思う。
それで思い出すのは、小学3、4年生くらいの頃の話だ。
上級生の女子が学校付近で裸で泣いているところを保護された、という噂を母親が聞きつけてきた。
「気をつけなさいよ。知らない男の人についてっちゃダメだからね」
「なんで?」
「イタズラされるからよ」
「イタズラってどんな?」
当時、私にとっての「イタズラ」とは、男子が女子の背中に毛虫を入れたり靴を隠したりするようなおふざけ半分の嫌がらせを指していたので、大人の男の人もそんな事をするんだろうかと不思議に思ったのだ。
すると母は、
「そういうイタズラじゃなくてね、もっとひどい事をするの。服を脱がしたり」
「なんで服なんか脱がすの?」
「裸を見たいんでしょ」
「なんで?」
子供の頃の私は本当にウザいガキだった。
納得するまで「なんで?なんで?」と訊き続けるのだ。
「なんでその人は裸なんか見たがるの?」
「お、男の人の中には、女の子の裸を見たがる人がいるのよ」
「なんで?」
「そ、それは……」
母は苦悶の表情を浮かべつつ、こう言った。
「女の子は将来、赤ちゃんを産むでしょ?」
「うん」
「だから女の子の身体には、赤ちゃんが通って来る道があるの。男の人にはそれがないから、そこを見たがる人がいるのよ」
「へえ~」
この説明にはちょっと納得した。
なるほど、言われてみると確かに、女子の身体には赤ちゃんの出て来る場所があるはずだ。
ずっとヘソだと思い込んでたけど、ヘソは男子にもあるから、もしかしたら別の場所なのかもしれない。
「ねぇねぇ、それってどこにあるの?」
「え?」
「赤ちゃんの道はどこにあるの?」
「そ、それは……」
なおも食い下がる娘に辟易した母は、ままよとばかりに言いきった。
「それはパンツの中よ!」
「ほぉ~~!」
それを聞いた時、私は目から百枚くらいウロコが落ちた気分だった。
そうかそうか、それで男子は女子のパンツを見たがってスカートをめくったりギャーギャー囃し立てたりするのか。
それが何か「エッチな事」だとはわかっていたが、まさか赤ちゃんと関係あるとは思わなかったよ!
中村典子8歳、生殖という「世界の秘密」の片鱗に触れた最初の機会である。