●孫正義氏の「東日本大震災復興支援財団」の会計監査してみた!
前回は、金持ちは、財団というものをつくって、自分の資産を無税で身内にばら撒くことができる、そして、孫正義氏が、東人大震災のときに寄付したお金100億円のうちの4割(40億円)は、自分のつくった財団「東日本大震災復興支援財団」に流れている、というお話をしました。
財団というのを、改めて簡単に言いますと、寄付などの財産を使って何かの事業を行う、ということものです。しかし、この財団は、昔から金持ちの節税アイテムとして使われています。資産家が財団を作って、自分のお金を拠出するときには、税金がかかりません。そして、財団には、自分の身内を入れ込み、財団の金を自由に使わせるのです。
普通、自分の資産をだれかにあげたりすれば、贈与税がかかってしまいます。贈与せずに、死後に譲った場合は相続税がかかります。しかし財団にあげることにすれば、贈与税も相続税もかからないのです。財団のお金は、外部から厳しくチェックされたりはしないので、事実上、財団の運営者の意のままになるのです。
そして、孫正義氏がつくった「東日本大震災復興支援財団」も、そういう仕組みを持っているというお話をしたのです。
このお話について、あたかも孫正義氏が40億円の寄付金をすべて身内にばら撒いた、という受け取り方をされている方も多かったようです。
仕組み的にそういうこともありうるということを述べたわけでありまして、孫正義氏の財団が、実際にそうだったということではありません。これだけ世間の注目を浴びている人ですし、財団の財務などもある程度は公表されているので、さすがに40億円すべてを身内にばら撒くようなことはできないでしょう。
で、その埋め合わせといいますか、前回の舌足らずを補完する意味でも、孫正義氏の財団の経理状況がどうなっているのか、実際にどういう事業を行ったのかということを、公表された資料の中から読み解いていきたいと思います。
●4割の金がまだ未消化
東日本大震災復興支援財団は、その公式サイトの中で、活動内容の報告と簡単な財務諸表を公開しています。公式サイトに行けば、誰でもそれを見ることができます。
この財務諸表をみたとき、まず目につくのが、16億円の資金がまだ残っているということです。40億円の出資でつくられた財団ですので、その4割程度の金がまだ未消化になっているということです。
震災からもう6年も経とうとしているのに、まだ半分近くのお金が残っているのです。
震災被害などというのは、震災があった時点が一番ダメージが大きいものです。いろんなものを失い、生活を立て直すための手助けが欲しいからです。震災から7年も経てば、だいたいどの人も、それなりに生活を立て直しているはずです(それができなかった人は、自殺などをしているかもしれません)。
つまりは、震災でダメージを受けた人が、一番経済的な助けが欲しいのは、震災を受けた直後の数年間だと思われます。だから、本当に震災で困っている人を助けようというのなら、この時期に集中的に支援するべきだと思われます。
現時点で、4割ものお金が残っているということは、まず大きな疑問として残ります。